大学加速器連携協議会

大学加速器連携協議会設立趣意書

コッククロフトとウォルトンによる加速器の開発以来、加速器はいろいろな粒子や光を発生させ、相対論検証、原子核研究、素粒子研究と基礎科学の最先端を常に牽引し、物質生命科学研究を革新し、新しい医療診断法・治療法やインフラ診断法を創成し、多彩な成果を人類に与えてきました。それは21世紀における科学への憧れ、豊かな社会の源となっています。 いっぽう、発展してきた科学は広大な分野へと分化してきていますが、加速器はその多様性ゆえ分野横断的な側面を持ちます。各分野の橋渡し的な役割をはたして分野間の融合を促進することにより、更なる科学の発展を開花させる可能性を秘めています。これは、加速器の単に道具としての役割のみならず、科学の先駆的な推進力となってきたというその特性により成り立ってきています。

我が国の加速器開発及び加速器応用研究には二つの流れがあります。一つは、新しい原理に基づく小中型加速器の開発および要素技術開発と多様多彩な利用の創造そして優秀な次世代加速器人材の育成です。もう一つは、世界の加速器技術の粋を集めた巨大加速器開発とそれを利用した世界最先端の巨大科学推進です。現在では、前者を全国約40カ所の大学の加速器施設が担い、大学の加速器科学施設の活力から生まれた大学共同利用機関法人・高エネルギー加速器研究機構(KEK)等が後者を担ってきております。

最近、大学法人化や大学経営方針の変化により、大学の加速器施設の運転経費や人材 経費の保持が困難になり、人材育成さえも難しい危惧すべき危機的状況にあります。加 速器施設のようなものは幾つもなくてよい、大きいものが一つあればよいという意見がありますが、先端性と多様性を同時に培い、20世紀・21世紀の科学全体を押し上げ てきた加速器科学分野をさらに発展させるためには、大学に多様な加速器拠点があることが重要です。それは、新しい科学や技術の芽の多くは大学で育ち、若い人材を育てるのも大学だからです。巨大加速器開発・巨大科学推進を担うKEK人材の源も大学です。

大学加速器施設とKEKが担う二つの流れは別々ではなく、相互になくてはならない存在です。加速器を取り巻く難問題を打破し、大学加速器施設やKEKにおいて加速器発展の夢を活発に語れる環境を、共に、作り上げていきたいと考えております。このため、各大学の加速器施設とKEK加速器研究施設が、
(ア)大学加速器施設とKEK加速器研究施設の情報共有、
(イ)加速器技術向上や加速器科学の新展開に関する検討(恊働プラン策定等)、
(ウ)大学加速器施設の維持・管理・運用や機能向上に関する相互扶助・協力、
(エ)加速器関連の人材育成、
等を共同して促進する全国組織母体「大学加速器連携協議会」の設立を提案いたします。
一つや二つの施設では打破できなくとも、集まってクリティカルマスを越えれば、道が開けると信じております。

世話人
KEK 山口 誠哉(代表世話人)
筑波大学 笹 公和
京都大学 岩下 芳久