Introduction


構造物性研究センターとは

 高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所(物構研)において、2009年4月1日より構造物性研究センター(CMRC:Condensed Matter Research Center)を設立しました。本構造物性研究センターは、物構研が持つ放射光・中性子・ミュオン・低速陽電子という複数のプローブの総合的な利用と、外部の研究者との密接な研究協力により、独創的かつ先端的な研究を展開し、物性科学分野の世界的研究拠点となることを目指していきます。
 物構研は、加速器ベースによる安定で高品質な放射光・中性子・ミュオン・低速陽電子を、大学共同利用機関として多くの研究者に提供し、幅広い研究・利用分野での成果創出を目的としています。また研究所員自身が、関連する研究分野を先導する先端的研究を行うことも研究所としての重要な役割です。このために物構研には構造生物学研究センターが設立され、生命科学分野で多くの世界的な成果を生み出していますが、この度、物性科学分野の研究を牽引する目的で、新たに構造物性研究センターが発足することになりました。物構研の研究環境は、今大きく変わろうとしています。大強度陽子加速器施設J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)では、世界最強のビームを使った新たな中性子・ミュオン利用研究がまさに始まり、放射光科学研究施設では直線部増強や新たなビームラン統廃合が戦略的に進められてきています。この時期に、構造物性研究センターを設立することは時宜を得ていることであり、生命科学と物質科学の研究を先導する2つのセンターを車の両輪として持つことは物構研としても非常に有意義なことであると考えています。
 構造物性研究センターでは、現在の物性科学分野の中で重要であると考えられる次の4つの物質系を対象にして、構造物性研究を推進することを計画しています:1.強相関電子系、2.表面・界面系、3.ソフトマター系、4.極限環境下物質系。今後、これらの研究領域に関連する国内外の研究者の連携を図り、各研究プロジェクトを推進していきます。また、これらの研究領域間を跨る新しい研究領域の開拓も目指していきます。

構造物性組織図
 構造物性研究センターは物構研所長のもとに組織されます。放射光科学研究系・中性子科学研究系・ミュオン科学研究系という、共同利用を推進するための研究施設(ハードウエア)を基盤とした研究系を縦糸とすると、構造物性研究センターはマルチプローブを利用した独自研究を行ない、これらの研究系を横断した横糸の役割を果たします。