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KEK

◆15-09 梯子型銅酸化物のキャリアコヒーレンス制御による絶縁体―金属双方向高速光スイッチング

物構研談話会
  • 日時:10月14日(水)16時~
  • 場所:4号館2階輪講室1
  • 講演者:深谷 亮氏 (KEK 物構研 特任助教)
  • 題名:梯子型銅酸化物のキャリアコヒーレンス制御による絶縁体―金属双方向高速光スイッチング
  • 英題:Ultrafast Bi-Directional Insulator-Metal Phase Switching by Tuning Carrier Coherence in Cuprate Ladder System
  • 要旨:

    光を利用して物質中の電子の動きを自在に制御する技術、および物質の光学的・ 磁気的・電気的性質などを光で変化させる光機能性材料の開発・探索研究が世界中で精力的に行われている。特に光キャリアドーピング技術を利用した物質の電気伝導性の光制御は、高速かつ非接触で電気的な性質を変換できるため、次世代光スイッチングデバイスとして応用展開する上で単純かつ最も適した方法であると考えられている。しかし一般的に、物質に照射された光エネルギーは電子の数や運動エネルギーを増やす方向に変換されるため、光を使って絶縁体から金属への変化は可能でも、金属から絶縁体へと変化させることは常識的に困難であると認識されていた。

    本講演では、梯子型銅酸化物Sr14-xCaxCu24O41の有するキャリアコヒーレンスを光制御することにより、室温を含む広い温度域で絶縁体→金属[1]・金属→絶縁体への変化およびサブピコ秒間隔の光パルス列を利用した絶縁体⇔金属間の高速光スイッチングに成功した研究成果[2]について紹介する。

    [1] R. Fukaya et al., J. Phys. Soc. Jpn. 82, 083707 (2013).
    [2] R. Fukaya et al., Nature Communications, in press.