ミュオン科学研究系活動報告2018(2月)

20187年 3月

◤ J-PARC MUSE施設整備状況

1. 超低速ミュオンビームライン(U-Line)の進捗

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ビームステアリング用の新電源 [拡大図(299KB)

 昨年秋より、追加の磁気遮蔽やビームステアリング用の新電源を用いた、新しい条件でのビームチューニングを行ってきた。これにより、サンプル位置でのビームのプロファイルが改善し、また安定的にビーム供給できるようになった。
 これを受けて、スペクトロメータを用いた測定を開始し、2月26日、U-Line において、超低速ミュオンのスピン回転を確認した。これは、ミュオンスピン回転(μSR)法を用いた実験が、U-Line においても実施できることを示している。
 今後は、時間分解能の確認や、再減速の試験などを進めるとともに、イベントレートを向上するべくチューニングとビームラインの改良を行っていく予定である。

 

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超低速ミュオンのスピン回転:
サンプルに止まった超低速ミュオンのスピンが、20 ガウスの外部磁場によって回転している。 [拡大図(106KB)

 

 U1Aエリアでの超低速ミュオンのビームコミッショニングを継続している。先日の超低速ミュオンビームによる横磁場回転の初測定以降、さらに高磁場印加によるミュオンスピン回転スペクトルの観測に成功した。従来のパルスミュオン源では、ミュオン生成標的に打ち込まれる陽子ビームのパルス幅(~100ns)により時間分解能が決まる。超低速ミュオンは、熱エネルギーミュオニウムのレーザー共鳴イオン化により生成するため、レーザーパルスの時間幅(~8ns)が時間分解能を決める。このため従来観測することのできなかった、速い回転(高磁場)の変化を見ることができる。図は、U1Aエリアのスペクトロメータで観測した1400 ガウス(~20 MHz)の横磁場回転信号である。

 

 

 

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