ミュオン科学研究系活動報告2019(5-6月)

2019年 6月 6日

◤ J-PARC MUSE施設整備状況

【 ミュオニウム超微細構造の精密測定の進捗状況 】

 MuSEUM (Muoinux Spectroscopy Experiment Using Microwae)グループではミュオニウム超微細構造の精密測定を行うことにより、束縛系量子電磁力学の厳密な検証を行うことを目的としている。また高磁場下での測定では、ミュオン磁気モーメントおよびミュオン質量の精密な決定が可能となる。特にミュオン磁気モーメントの測定は、理論値と測定値が異なることが知られているミュオン異常磁気能率の値の決定に重要な役割を持つ。本研究グループでは、これまでDラインを用いて、100nT 以下でコントロールされたゼロ磁場下での 測定を進めてきた。これまでに純クリプトンガスを用いて、これまでのゼロ磁場下での最高精度300 ppb から170 ppb に改善することに成功している。
 また、現在純クリプトンガスでの測定で系統誤差の要因となる、クリプトンガスの圧力依存性についても、その低減のため開発が続けられている。今回はその一環としてマイクロ波領域で屈折率の符号が反転する、ヘリウムとクリプトンの混合ガスについてのゼロ磁場実験における測定値の混合比依存性につぃて調べた。図1に結果を示す。いつれの混合比の場合も、ミュオニウムの生成率はほぼ100 %であり、ミュオニウム超微細構造の精密測定に適したものであることが明らかになった、この混合比依存性は屈折率等を考慮した簡単なモデルで説明することができ、結果としてクリプトンガス30 %程度の混合率で、圧力依存性がほぼなくなることが示された


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  図1:ミュオニウム超微細構造測定値のクリプトンガスとヘリウムガスの混合比依存 性(真空中の値からの離調周波数)[拡大図(180KB)

 

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