imss

KEK

金属的な二次元状ケイ素を形成

物構研トピックス
2017年2月24日

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の高村 由起子准教授、アントワーヌ・フロランス助教らは、ライナー・フリードライン元准教授とUCL-JAIST協働研究指導プログラムの修了生であるトバイアス・ギル博士とともに、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)、ブルックヘヴン国立研究所と共同で、二ホウ化物(ZrB2)上のシリセンにケイ素を蒸着することで金属的な電子状態をもつ新しい二次元状のケイ素の同素体が形成されることを発見しました。

0223_fig1.jpg
今回発見された新しい二次元状ケイ素の走査トンネル顕微鏡像。(画像提供:北陸先端科学技術大学院大学)

シリセンは、原子一層から成るケイ素(Si)の二次元的な結晶です。1994年に日本人研究者によってシリセンの安定な構造が理論的に発表され、その後、炭素(C)の二次元結晶「グラフェン」に関する研究成果が2010年度のノーベル物理学賞を受賞するなど大きな注目を集め、そのSi版であるシリセンの研究が世界的に行われるようになりました。JAISTの研究チームは、2012年にSiウェハー上のエピタキシャル二ホウ化ジルコニウム薄膜上にシリセンが自発的に形成されることを発見しています。

今回、そのシリセン上にケイ素を蒸着したところ、シリセンとは異なる構造をもった新たなケイ素の二次元状同素体が形成されることが低速電子線回折と走査トンネル顕微鏡観察から明らかとなりました(上図)。さらにKEKの放射光施設、フォトンファクトリーBL13における角度分解光電子分光により、新しい二次元状ケイ素が金属的な電子状態をもつことが明らかとなりました。

この成果により、シリセンにその構成元素であるケイ素を付与するだけで、シリセンや、電子デバイスに使用される半導体材料でダイヤモンド構造をもつケイ素のシリコンとも異なる、金属的な二次元状ケイ素の形成が可能であることが明らかとなりました。この新しい金属的なケイ素はシリセンをデバイス化する際のコンタクト材料として期待されます。

本成果は、2月17日(金)に英国物理学会出版局の発行する電子ジャーナル「2D Materials(ツー・ディー・マテリアルズ)」誌に掲載されました。

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)のプレスリリースはこちら

論文情報
掲載誌:2D Materials 4, 021015 (2017).
"Metallic atomically-thin layered silicon epitaxially grown on silicene/ZrB2"( 二ホウ化ジルコニウム上シリセンの上にエピタキシャル成長された金属的なケイ素の原子層物質)
doi: 10.1088/2053-1583/aa5a80

用語解説

※ 角度分解紫外光電子分光
光電効果によって試料から飛び出した光電子のエネルギーの放出角度依存性を測定することにより物質中の電子状態(運動量)を調べる方法を「角度分解光電子分光」と言う。

関連記事

関連サイト

ページトップへ