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岩手医科大学などの研究グループ、糖尿病薬や抗がん剤開発に役立つ酵素の立体構造を解明

物構研トピックス
2018年2月13日

岩手医科大学薬学部 構造生物薬学講座 阪本 泰光准教授、昭和大学 薬学部/分子分析センター 田中 信忠准教授、長岡技術科学大学 生物資源工学研究室 小笠原 渉教授らの研究グループは、糖尿病の薬(DPP4阻害薬)で副作用を引き起こすことがあるヒトDPP8/9の類縁酵素の詳細な立体構造を明らかにしました。

DPP4阻害薬とは2型糖尿病に処方される比較的新しい薬です。 DPP4は血液中にある酵素で、インスリン分泌を促進する働きを持つホルモン(インクレチン) GLP-1を分解します。 DPP4阻害薬はDPP4の働きを妨げてGLP-1の血中濃度を高めるので、インスリン分泌が増強され血糖値が下がります。

しかし、ヒトDPP8/9という酵素がDPP4と似ているため、DPP4阻害薬と結合し、脱毛や皮膚炎などの副作用を起こすことが報告されています。 また、DPP8/9が阻害されることで、炎症性細胞死を引き起こすことも近年明らかにされました。 より副作用の少ない薬を作るため、ヒトDPP8/9とDPP4阻害薬がどのように結合するのか、構造を明らかにする必要があります。

研究グループは、フォトンファクトリー 構造生物学研究センターのビームライン BL1AおよびBL17Aを用いて、 ヒトDPP8/9の類縁酵素ジペプチジルアミノペプチダーゼ(DAP4)とDPP4を阻害する化合物との複合体の立体構造を、 初めて高分解能で解析しました。 化合物の結合した構造では、化合物の結合していない構造では見えていなかった 20 アミノ酸残基ほどの領域が、 αヘリックス という二次構造をとり、基質の認識に重要な役目をしていることがわかりました。

この研究は、副作用の少ない糖尿病薬や抗がん剤の開発および炎症性細胞死のメカニズム解明に役立つことが期待されます。

この研究成果は、2018年2月9日、Scientific Reportsに掲載されました。

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