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ビームラインの再編・統廃合について14

PFユーザ向け情報
2015年4月 7日

ビームライン再編・統廃合の現状についてお知らせします。(2014年4月3日、4月7日更新)

1. BL-2A,B

BL-2ではタンデム配置の真空紫外領域(VUV:30-300 eV)用と軟X線領域 (SX:250-2000 eV)用の2台のアンジュレータと斜入射分光器を用いて、同一のポートでBL-2Aでは30-2000 eV程度、BL-2Bでは二結晶分光器を追加することで30-4000 eV程度の単色光を同一のポートで供給できるような高輝度ビームラインとして日立製作所と共同で整備を進めています。2014年度に真空紫外領域をカバーするアンジュレータの追加設置および既存の軟X線領域アンジュレータの下流への移設を行い、UVUおよびSX領域での立ち上げ・調整を進めてきました。2015年度第一期には低エネルギー領域(30-120 eV)専用の回折格子を追加し、2結晶モードも加えた全エネルギー領域での最終調整、各ステーションでのコミッショニング実験を予定しています。これにより、戦略元素群の研究に必要なエネルギー領域をカバーし、表面・界面物性、機能性材料、環境材料などの評価・開発研究を推進する予定です。2015年度第二期からの共同利用課題を募集する予定ですが、実際の共同利用実験については、立ち上げ・調整の進捗に応じて、段階的に開始する予定です。

2. BL-3B

BL-3Bでは本年度4月よりユーザー運営ステーションとして運用が開始されました。低エネルギー領域(30~200 eV)の放射光が利用でき、真空紫外光電子分光装置(ARPES-II)による角度分解光電子分光(ARPES)測定が実施できます。
 価電子バンド構造解析による固体表面・界面の電子物性研究に適しています。新規に課題申請を検討している方は、ステーション担当者(間瀬)にご相談ください。

3. BL-12C

先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業での設備高度化により、最大100個の試料を搭載可能な試料交換ロボットと電離箱ガスの自動混合・フロー制御システムが導入されました。これにより、測定吸収端の異なる試料を同時に100個まで自動測定可能になり、さらに、個々の試料に対してX線照射位置のオフセット、透過法・蛍光法の選択など、単純な試料交換以上の機能も付加されています。産業利用等で人員の確保が困難な夜間の測定等に利用できます。また、産業利用以外の使用においても試料交換のために作業が中断される回数が減るため、効率の良い実験が可能になると期待されます。
 現在はシステムの調整運転中ですが、秋の運転には誰でも利用できるように整備を進める予定です。

4. BL-13A/B

BL-13は、角度分解真空紫外光電子分光、高分解能内殻光電子分光、高分解能軟X線吸収分光を駆使して、有機薄膜・分子吸着系の表面科学、有機デバイス科学、触媒化学等に関する研究を行うために整備を行ってきました。また、フリーポートを用意しておりますので2m×2m程度の大きさの装置であれば持ち込んでの実験が可能です。
 2015年2月に50-2000 eVのエネルギー領域をカバーする可変偏光アンジュレータを設置しましたので、4月から調整を行い、5月20日(水)21時からユーザーに公開する予定です。

5. BL-15A

2013年夏のシャットダウン中に建設を完了した後、ファーストビーム導入,光学素子の調整、実験装置等の立ち上げを進めました。2014年5月末から6月にかけてA1/A2ステーションで性能評価、及び外部ユーザーにもご協力頂いて立ち上げ実験を実施し、2014年11月より両ステーションで共同利用を開始しました。5keV以下の低エネルギー実験については、高調波除去ミラーの表面性能の問題があり、限定的な利用となっていましたが、2015年冬のシャットダウン中にミラー再研磨を実施したので、2015年春のビームタイムで再評価する予定です。また、ビーム位置のドリフト、30Hz以上並びにHz以下のビーム強度変動の問題が観測されておりますが、順次原因を突き止めて解決する予定です。高速エネルギー掃引につきましては、挿入光源と分光器のリアルタイム連動駆動システムを開発中であり、2015年度後半での実装を目指しています。

6. BL-15A1

2014年秋より共同利用を開始し、同時に当初予定スペックに向けての調整も行っています。現在は試料位置でのビームサイズが20ミクロン角(半値幅)、利用可能エネルギー範囲は5~15keVであり、適切なアンジュレータギャップをとることで、全域で10の11乗台のフラックスがあります。現在は2~5keVの領域での実験が行えるように高調波抑制ミラーと試料チャンバーの準備を進めています。また、エネルギースキャン時のビームスポットの揺れを押さえるために、光学系の調整とピンホールの設置を行います。

7. BL-17A

BL-17Aでは2015年1~3月のリング休止期間中にビームラインの改造を行いました。試料位置直前に集光光学系を追加することで更なるビームの微小化が期待されます。また、回折計を一新し、大面積のピクセルアレイ型検出器PILATUS3 S6Mを導入しました。これにより、これまで以上に高精度の回折データ収集を安定して行うことが出来るようになるとともに、結晶化プレートに直接X線を照射し回折データ収集を行うことが出来るようになります。
 2015年5月にビームラインのコミッショニングを行い、6月からは通常の回折実験について一般ユーザーに公開します。結晶化プレートを用いる実験は2015年10月からのビームタイムで一般ユーザーに公開する予定です。

8. NW10A

先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業での設備高度化により、21素子のピクセルアレイ型Ge半導体検出器が導入されました。2012年に発生した旧19素子Ge半導体検出器のBe窓破損以降、分解能の低下等でユーザーの皆様にはご迷惑をおかけしておりましたが、今回の検出器導入により、以前の19素子検出器以上の性能が出せるようになりました。また、新しい検出器には液体窒素蒸発防止装置が搭載されており、運転期間中の液体窒素補充は不要となっています。


これまでのお知らせは【実験装置・施設】ー【ビームラインの最新整備状況】から見ることができます。