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ビームラインの再編・統廃合について13

ビームライン再編・統廃合の現状についてお知らせします。(2014年8月5日更新)

1. BL-2A,B

BL-2ではタンデム配置の真空紫外領域(VUV:30-300 eV)用と軟X線領域 (SX:250-2000 eV)用の2台のアンジュレータと斜入射分光器を用いて、同一のポートでBL-2Aでは30-2000 eV程度、BL-2Bでは二結晶分光器を追加することで30-4000 eV程度の単色光を供給できるような高輝度ビームラインとして日立製作所と共同で整備を進めています。2014年2-3月に真空紫外領域をカバーするアンジュレータの追加設置および既存の軟X線領域アンジュレータの下流への移設を行い、2014年度第1期よりUVUおよびSX領域での立ち上げ・調整実験を開始しております。また、2015年度第一期には低エネルギー領域(30-120 eV)専用の回折格子を追加し、2結晶モードも加えた全エネルギー領域での最終調整、各ステーションでのコミッショニング実験を予定しています。これにより、戦略元素群の研究に必要なエネルギー領域をカバーし、表面・界面物性、機能性材料、環境材料などの評価・開発研究を推進する予定です。

2. BL-4A

BL-4Aでは本年度4月よりユーザー運営ステーションとして運用が開始されました。
それに伴い複多層膜分光器を用いた実験を停止しましたが、二結晶分光器とKirkpatrick-Baez型集光光学系を用いたマイクロビーム実験およびポリキャピラリー集光素子を用いた集光ビーム利用実験は引き続き継続されています。

3. BL-6C

BL-6Cは、ミラーの設置位置が実験ハッチ直上流であったため、これまでは13 keV程度までのX線集光ビームしか実験に利用することができませんでした。しかし、集光ミラーの設置場所を上流に移設することにより、 18keV程度の高エネルギーX線においても実験ハッチ内に集光可能となる改造を行ないました。昨年夏にまず分光器だけを上流に移設し、 2014年 2月末のシャットダウン時にミラーを上流に移設し、 5月のマシンタイムで、ミラー調整を行い、無事に18 keV以上(ハッチ後方では20 keV以上)の高エネルギーX線の集光(集光サイズ:横方向0.7 mm、縦方向0.3 mm、(半値全幅))を実現しました。エネルギー領域の拡大から、蛍光X線ホログラフィーをはじめ多くの実験で、測定対象物質の拡大が可能となりました。

4. BL-10C

BL-10Cは、5月の調整が完了し、5月30日よりユーザー利用を再開しました。
これまで不可能だった測定エネルギー変更も可能になり(6-14 keV)、ビームサイズを始めビームラインの性能は、ほぼ事前計画通りの性能になっております。ビームラインの状況とスペックの詳細は、小角散乱ビームラインのHPにて公開しております。

5. BL-11A

2014年5月より更新された光学系の調整を行いましたが、いくつかの問題点が見つかり、設計通りの分解能が出せない状況です。6月下旬には分解能よりも強度を優先する一部の利用実験も実施されましたが、夏期停止期間に入り、これまでに明らかになった問題点を解消する作業を行っています。10月末の運転再開時から光学系の再調整を行って、11月半ばからはユーザー実験が再開できるようにしたいと考えています。

6. BL-13A,B

BL-13は、角度分解真空紫外光電子分光、高分解能内殻光電子分光、高分解能軟X線吸収分光を駆使して、有機薄膜・分子吸着系の表面科学、有機デバイス科学、触媒化学等に関する研究を行うために整備を行ってきました。2013年6月に光電子分光器用光学系(BL-13B)の整備が終了し、光電子分光装置をBL-13Bに移設、コンパクト走査型透過X線顕微鏡(compact STXM)をBL-13Aに常設して、10月から共同利用を開始しました。2014年6月にはBL-13Bの光学素子の炭素汚染除去を行いました。またBL-13では2015年1-3月のシャットダウン中に50-2000 eVのエネルギー領域をカバーする可変偏光アンジュレータを設置し、調整が終わり次第ユーザーに公開する予定です。

7. BL-15A

BL-15Aは短周期アンジュレータを光源とする高輝度ビームラインとして,2013年春に旧ビームラインの撤去,設備関係の整備を行い,2013年夏期シャットダウン中にビームラインコンポーネントの設置作業を行いました。BL-15Aでは,高分子フィルムや生体膜などの多様な膜構造,天然物や工業材料など不均一な分布をもった物質構造を複合解析手法(SAXSやXAFS/XRFなど)により解明する研究を推進する予定です。2013年10月にファーストビームを導入し,光学素子の調整、実験装置等の立ち上げを進め、2014年5月末から6月にかけて、A1及びA2ステーションで性能評価と立ち上げ実験(外部からそれぞれ4グループと5グループに協力を頂きました)を実施しました。現在これまで明らかになった問題点の修正作業を行っており、10月からのビームタイムから各ステーションで共同利用を開始する予定です(5keV以下の低エネルギー実験除く)。

8. BL-17A

BL-17Aでは2015年1~3月のリング運転休止中のビームライン改造に向けて、準備を進めています。改造後の微小ビームを安定に供給するために、6月の運転停止直後にビームラインを一時撤去し、実験フロアの補強工事を行っています。補強工事後は、 ビームラインを一旦これまでと同じ状態に戻し、10月からの運転に備えます。12月までの運転が終了次第、ビームラインの改造を行う予定です。

9. BL-18A, BL-19A,B

これまでBL-18Aおよび19A/Bは東京大学物性研究所により運営されてきましたが、2014年2月末で共同利用実験を停止しました。現在、BL-19での新しい利用のあり方について検討しています。また新しい利用のプロジェクトが始動するまでの間、装置開発・測定手法の開拓などのための施設内のテストビームラインとしてBL-19Bを利用することとなりました。

10. BL-18B

インドのSaha Institute of Nuclear Physicsによって運用されていますが、2014年度から一般課題の実験も実施できるようになりました。現在有効な実験課題の課題責任者の方で、実験を希望される場合はステーション担当者にご連絡ください。また、新規に課題申請を検討している場合など、ステーション担当者にご相談ください。

11. BL-28A

BL-28Aは高性能角度分解光電子分光ステーションとして、強相関物質の3次元フェルミオロジー、軌道選択的バンド構造決定、ディラック電子系やトポロジカル絶縁体の探索などの研究を推進するために整備してきました。2015年1-3月のシャットダウン中に、1次光で30-300 eVをカバーする可変偏光アンジュレータを設置する予定です。


ビームラインの再編・統廃合に関するこれまでのお知らせ