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PF産業利用成果トピックス #12

放射光を利用した製油所触媒の再生条件最適化に関する研究

PFでの研究期間
2008年-2013年
研究機関
JX日鉱日石エネルギー株式会社
主要な研究者
岩波 睦修、小西 友弘、木村 信治
PF 野村 昌治、阿部 仁、仁谷 浩明、丹羽 尉博
使用ビームライン/手法
BL-9C,AR-NW10A / (In-situ) XAFS

研究の概要

製油所の脱硫装置で使用される触媒を再利用するために触媒を再生すると触媒性能が低下する機構を放射光利用XAFS法等により解明。これにより触媒性能回復を抑制する物質が存在しない「最適な触媒再生条件(温度、時間等)」の指針を得て、これを基に触媒を再生すると従来条件再生(性能回復率 = 約90%)に比べて大幅に性能回復率が向上。

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PF活用のポイント

従来は、再生した触媒の表面積、残留炭素濃度などを計測して触媒再生条件を経験的に決定していた。今回、触媒の再生を模擬した条件で放射光利用のin-situ XAFS実験を行うことにより、リアルタイムで触媒の構造変化を追跡でき、触媒性能低下の機構の解明と最適再生条件の指針を得ることができた。


産業への貢献・製品への応用・経済波及効果など

従来に比べて大幅に触媒性能が回復する最適再生条件の指針に基づき製油所の脱硫装置で使用した触媒を実機再生し、製油所の装置に再生触媒を充填して使用。


論文・総説

先端研究施設共用促進事業「フォトンファクトリーにおける産業利用促進」の利用報告書(課題番号:2009I005)
ENEOS Technical Review,55 (2),p.73-77 (2013)


研究者からの一言

実験を行う際に必要な機材の準備、測定技術のノウハウに関するアドバイス等、PFスタッフの方々から様々なサポートが頂けたため、限られたマシンタイム内で効率よく実験を行うことができました。In-situ実験では、自分が予想した通りに触媒構造が変化していく様子をリアルタイムで観測できたときに喜びを感じました。また放射光利用実験の結果を活用して従来の触媒再生技術の改良に貢献できたことは研究者としての大きなやりがいと言えます。