【用語解説】 |
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*1 |
単結晶 |
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結晶とは原子の配列が空間的に繰り返しパターンを持つような物質であり、1個の固体全体にわたって同じ繰り返しパターンを持つものを単結晶、単結晶の集合体を多結晶と呼ぶ。単結晶のX線回折は結晶格子内の各原子の配置について非常に多くの情報を与える。
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短パルスX線 |
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放射光リング中で周回している電子は、周期的な加速を受けることにより集団化(バンチ化)し、進行方向に数センチ程度の長さの集団となって周回している。これを電子バンチと呼ぶ。電子バンチが磁場中を通過すると電子バンチの長さに相当する時間幅のパルスX線が放射される。ほぼ光速で移動している長さ3センチの電子バンチから、100ピコ秒の時間幅のパルスX線が放射される。
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*3 |
時間分解能 |
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空間を測定するための目盛りの細かさを空間分解能というのに対して、時間方向の目盛りの細かさを時間分解能という。時間が3桁短くなるごとに単位の呼び方が変わり、ミリ秒(1000分の1秒)、マイクロ秒(100万分の1秒)、ナノ秒(10億分の1秒)、ピコ秒(1兆分の1秒)、フェムト秒(1000兆分の1)という単位が使用される。100ピコ秒は100億分の1秒である。測定の空間分解能がものさしの目盛りの幅で決まるように、測定の時間分解能は測定に使用するパルスの時間幅で決まる。
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レーザーパルス |
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連続的に光を放射するレーザーを連続光レーザーと呼ぶのに対して、短い時間幅のパルスを放射するレーザーをパルスレーザーと呼ぶ。マイクロ秒からフェムト秒まで広い時間範囲のパルスレーザーが実用化されている。短い時間幅の中にエネルギーを集中させることが出来る点が特徴である。
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X線回折 |
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X線が結晶格子によって回折される現象のこと。1912年にマックス・フォン・ラウエがこの現象を発見し、X線の正体が波長の短い電磁波であることを明らかにした。逆にこの現象を利用して物質の結晶構造を調べることができる。X線回折の結果から結晶内部で原子がどのように配列しているかを決定する手法をX線結晶構造解析法あるいはX線回折法という。
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大強度単バンチ運転 |
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1個の電子バンチ(電荷の束)のみを蓄積リングに周回させる運転モードを単バンチ運転と呼ぶ。特に1個の電子バンチの中に多くの電荷を蓄積した場合を大強度単バンチと呼んでおり、PF-ARでは常に大強度単バンチ運転が実現している。
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*7 |
高強度ナノ秒YAGレーザーパルス |
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ナノ秒のパルス幅を持つパルスレーザーの総称。ネオジムイオンをYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶)に入れたNd:YAGレーザーがナノ秒高強度レーザーの代表である。
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*8 |
圧力相転移 |
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圧力により、化学的、物理的に均一な物質の相が他の形態の相へ転移すること。
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