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大強度陽子加速器施設(J-PARC) |
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平成13年より、原子力機構と高エネ機構が共同で茨城県東海村に建設している陽子加速器施設と利用施設群の総称。
加速した陽子を原子核標的に衝突させることにより発生する中性子、ミュオン、中間子、ニュートリノなどの二次粒子を用いて、物質・生命科学、原子核・素粒子物理学などの最先端学術研究及び産業利用が行われる予定。
平成20年5月30日には、物質・生命科学実験施設(MLF)においてJ-PARC初の中性子ビームの発生に成功。 |
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※2 |
ミュオンビーム |
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ミュオンは、電子と同じレプトン(軽粒子)の仲間に属する素粒子で、天然には宇宙線として地球に降りそそいでいる。正と負の電荷をもつミュオンが存在し、負の電荷をもつミュオンは多くの点で電子と同じ性質を持つが、質量は電子のおよそ200倍、陽子のおよそ9分の1であり、正の電荷をもつミュオンは物質中では水素の原子核の同位体のように振る舞う。
なお、MLFで造り出されるミュオンは、エネルギーが揃った正電荷を持つミュオンのビームであり、炭素で1mm、銅で0.1mm程度の薄い実験試料に止めることができる。試料に入射したミュオンは原子と原子の間で止まり、その場の磁場を受けながら崩壊して陽電子を放出する。この陽電子を調べることで物質中の微小な磁場を解明する手法をμSRと呼ぶ。 |
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負ミュオン特性X線非破壊元素分析 |
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電子を照射された原子は、元素の種類に応じたX線(特性X線)を放出する。この特性X線を用いた物質表面の元素分析は広く活用されているが、特性X線のエネルギーが弱いため、物質内部の元素分析には適さない。一方、電子の代わりにその200倍の質量をもつミュオンを用いると、原子が放出する特性X線のエネルギーが桁違いに高くなり数mm〜数cmという厚みを貫通することが可能となるため、非破壊で試料内部の元素分析を行うことが可能となる。 |
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※4 |
中間子 |
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1934年に理論物理学者の湯川秀樹によって存在を予言され、1947年に宇宙線の中から発見された粒子。核力を媒介し原子核中の陽子と中性子を結合させている粒子であり、電子よりも重く核子(陽子や中性子)より軽い粒子であることから中間子の名が付けられた。なかでももっとも軽量な中間子がパイ中間子であり、約5千万分の1秒でミュオンに崩壊する。
なお、湯川秀樹は1949年に日本人として初めてのノーベル賞を受賞した。 |
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超伝導ソレノイド |
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高速の陽子が標的に衝突して生じるパイ中間子の飛行方向を揃えるための、強力な超伝導磁石。ソレノイドとは、導線を円筒状に均一に巻いたコイルのことで、超伝導ソレノイドはパイ中間子を効率よくミュオンに変換するために距離の長い強い磁場を作るためのもの。MLFの超伝導ソレノイドはコイルの全長が6mあり、地磁気のおよそ10万倍に当たる5テスラという強い磁場を形成することができる。 |