【用語解説】 |
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※1 |
大型放射光施設SPring-8 |
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兵庫県の播磨科学公園都市にある、世界最高の放射光を生み出す理化学研究所の施設。その管理運営はJASRI が行っている。SPring-8 の名前はSuper Photon ring-8GeVに由来。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のこと。SPring-8 ではこの放射光を用いて、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究を行っている。 |
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※2 |
光電子顕微鏡(PEEM:Photoelectron Emission Microscopy) |
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試料表面から放出された光電子の空間情報を数十ナノメートルの分解能で直接画像化できる電子顕微鏡の一種である。観測される光電子強度はX線の吸収強度に比例するため、X線吸収強度のマッピングが可能である。この原理を用いて組成・結晶構造・磁区構造の空間分布がナノスケールで直接調査できるため、近年ナノテクノロジーの分野での利用が急速に拡大している。 |
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※3 |
磁区構造 |
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強磁性体において磁気モーメントの向きが揃った領域のこと。 |
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※4 |
テトラテーナイト |
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テトラテーナイトは鉄50%、ニッケル50%で構成され、鉄とニッケルが単原子毎に繰り返される規則的な周期構造として特徴付けられる。テトラテーナイトは隕鉄特有の鉄ニッケル相で、通常、地上には存在しない。一般には、ウィドマンステッテン構造において、鉄リッチのα相とニッケルリッチのγ相の境界に層状に偏在する。なお、鉄ニッケル合金において、ニッケルの組成比が25%以下のものをα相、25%以上のものをγ相と呼ぶ。テトラテーナイトは鉱物学的な名称で、金属学的にはγ’と呼ばれ、結晶学ではL10型鉄ニッケルと呼ばれる。 |
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※5 |
ウィドマンステッテン構造 |
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隕鉄に見られる幾何学的な金属組織である。主に、鉄リッチなα相とニッケルリッチなγ相の層状結晶で構成された多結晶体で、界面近傍では互いの結晶軸は決まった関係で配向している。本構造は、1℃冷却するのに100万年を費やさないと形成されない特殊な金属組織で、母天体中心部の鉄ニッケルが極めて緩やかに冷却された結果、形成に至ったとされる。950℃まで加熱すると破壊され、再冷却しても再現されないことから、宇宙由来の金属組織とされる。なお、大気圏突入時の熱は隕石の表面数mmにしか進入しないことから、隕鉄内部のウィドマンステッテン構造は保護される。 |
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※6 |
磁性多層膜 |
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数種類の磁性材料の超薄膜で構成された多層膜のこと。単一の膜と異なる新しい特性を膜全体で発揮するため人工格子とも呼ばれる。半導体や非磁性体がバッファ層として挿入される場合もあり、目的とするデバイスに応じて多種多様な構成が存在する。 |
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※7 |
静磁エネルギー |
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磁性体表面の磁極によって発生するマクロな磁気ポテンシャルエネルギー。 |
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※8 |
マイクロマグネティックスシミュレーション |
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磁区構造を予測する数値シミュレーションの手法。格子状に並べられたセルに磁気異方性や磁気モーメントなどのパラメータを各々設定し、内部エネルギーが最小になるよう計算し、磁区構造を数値的に導き出す。通常、微小磁性体の磁区構造を予測する為に用いられるが、本研究のような広い測定領域に適用する為、特別な境界条件を組み込んだコードを用いて計算を行った。 |
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※9 |
保磁力 |
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磁化された強磁性体を磁化されていない状態に戻す為に必要な逆向き磁場の強さのこと。抗磁力とも呼ばれる。 |
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※10 |
磁気異方性 |
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特定の方向への磁化の向きやすさの事を磁気異方性という。磁性体の内部エネルギーが磁気モーメントの向きに依存する性質のこと。磁気モーメントが向きやすい方向(磁化容易方向)と向き難い方向(磁化困難方向)が存在し、その差分の内部エネルギーを磁気異方性エネルギーという。容易磁化軸を膜面垂直方向に配向させる事は、高密度集積化の面で大きな利点があり、ハードディスクや磁気メモリ、スピントロニクスを利用した新しい磁気デバイスへの応用の可能性が期待される。 |