10月10日、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の電子陽電子入射器グループは、Cバンド加速管(5712MHZ、長さ1m)を用いて、従来の約2倍の40MV/mの高電界で電子ビームを加速することに成功した。このことにより、現在用いているSバンド加速管(2856MHz、長さ2m)と同等の加速エネルギーが、2分の1の長さの加速管で得られることを実証した。
同グループは、昨年度から、入射器の安定化のためのエネルギー増強に関連して、加速器の小型化、効率化の技術開発に取り組んできたが、最初の大きな成果となった。また、この技術は、高エネルギー加速器の高度化や医療用電子加速器の小型化、産業用加速器などへの応用も期待されるものである。
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【図1】 |
電子・陽電子入射器に試験的に設置された C-band、1m加速管(写真中央から右寄り)。手前=写真中央左寄りの上流側には、S-band、2m加速管が設置されている。加速利得測定(図3)によって加速管の性能が検証されただけでなく、放射光リングへのビーム入射によって実証試験も行った。
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【図3】 |
はじめて測定されたC-band加速管による加速利得の結果。RFの位相を360度変化させたときの入射器終端でのビームエネルギーの変化をプロットしたもの。加速利得としてほぼ設計値通りの41.2 MV/mが得られた。 |
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