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筑波東中学校の5名、KEKにて職場体験

2011年8月9日

8月2日(火)3日(水)の2日間、つくば市立筑波東中学校の2年生、5名が職場体験の一環としてKEKを訪れました。

初日は、KEKで行われている実験について知るために、コミュニケーションプラザとBelle測定器や放射光科学研究施設フォトンファクトリー(PF)を見学しました。午後には放射線科学センターにて放射線測定を体験しました。岩瀬広助教と一緒に、LaBr3という測定器を使って、食品に含まれる放射能を測定しました。その後はKEK敷地内の放射線量を測定しました。敷地内で表面線量が0.38マイクロシーベルト/時という他より線量が高い地点を発見し、除染作業を体験しました。土や木の葉等を取り除き、高圧洗浄機で洗浄すると0.11マイクロシーベルト/時となりました。さらにクエン酸や重曹などを加えたときの効果についても試験しました。

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食品に含まれる放射線量を測定。規制値500ベクレル/kgを下回る結果とわかり一安心。

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XY座標に計算した値を機械に入力。星型など複雑な図形を作った生徒は、たくさんの座標を入力していました。

2日目には機械工学センターで小林芳治先任技師の指導のもと数値制御工作機械を操作してアクリル加工などの工作を体験しました。生徒自らが描いた図形を座標変換し、計算結果を入力してスイッチオン!すると手書きの設計図どおりの形に、発泡スチロールが切り取られ、感激していました。
午後からは放射光科学研究施設フォトンファクトリーのBL-6Aにて、実際に実験で使用する分光器と呼ばれる装置の設置を行いました。分光器とは、加速器から作りだされる放射光から実験に必要な波長(エネルギー)だけを取り出すための装置です。微小な試料に、正確に必要な波長の放射光を照射するためには、1mm以下の精度で分光器を設置する必要があります。生徒らは、協力して装置の水平、位置を合わせていきました。最初は使い慣れない工具に戸惑いつつも、徐々に要領を得て作業は進み、設置が完了しました。

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分光器の中を覗き込んでいる様子。この中に放射光を分光するための結晶を設置する。

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分光器の位置を調整している様子。レーザー墨出し器を使い、位置を確認する人とネジを回す人が連携して作業を進める。

参加した生徒は「2日間は疲れたけれど、本物の装置を触ったり、作業出来たのが楽しかったです。」と話していました。フォトンファクトリーでの指導を担当した森丈晴技師は「初めて経験する作業に協力して意欲的に取り組まれていたのが、印象的でした。その結果が、時間内の装置設置完了というかたちで表れたのだと思います。」と語っていました。今回設置された分光器は、夏期シャットダウン明けの秋には、国内外の研究者たちに使用される予定です。

※ 職場体験とは
職場体験は、文部科学省の推進のもと行われている学習活動です。生徒が直接働く人と接することで、学ぶことや働くことの意義や生きることの尊さを実感し、生徒が主体的に進路を選択決定する態度や意志、意欲などを培うことを目指しています。