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フォトンファクトリーで実験機器調整を開始 ユーザーにも協力を依頼

2011年5月25日

東日本大震災により運転停止していたフォトンファクトリー(PF)では5月23日、震災後初めて放射光が実験機器まで通りました。これにより、光学装置や実験機器などの精密機器に放射光を通しながら、精度を検査し、調整することが可能になりました。この機器調整では試料に放射光を照射して様子を見ますが、すべてのビームラインで同時に行う必要があるため、PFでの共同利用実験を経験しているユーザーの協力も得ながら、本格復旧へ向けた調整を行う予定です。

つくばキャンパスでは、線形加速器の電磁石が落下し、PFリングでは真空のビームパイプのおよそ半分が大気に曝されたほか、ビームラインや実験装置関係でも真空ポンプ等に大きな被害を受けました。PFリングはほぼ光の速度まで加速させた電子にエネルギーを与えるための加速器で、真空度の低下は電子ビームの寿命や質を低下させる要因になります。KEKでは国内外から訪れる年間3400名を越える研究者の需要に一刻も早く応えるべく、PFリングへの入射に必要な線形加速器のおよそ3分の1を集中的に復旧させ、実験機器などについては稼働する機器を集めてPFの仮復旧を優先的に進めました。その結果、5月16日に線形加速器からPFリングへと電子ビームが通り、続いて23日にPFリングから実験ホールへ放射光が導入されました。

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5月16日、コントロールルームにて

線形加速器からPFリングに初めて電子ビームを通している。

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5月24日、PF実験ホール内にて

実験装置にビームを運ぶビームラインにビームが来ているか蛍光板を使って確認した。


PFは今秋には本格的な共同利用実験を再開することを目指して、ビームを使った機器調整を電力需要が増える夏前に進め、夏期は停止し、保守を行う予定です。