物構研談話会

日時: 2012-01-12 16:00 - 18:00
場所: 4号館2階輪講室1 東海1号館324室
会議名: 物構研談話会/量子ビームセミナー
連絡先: 中尾裕則
講演者: 富永大樹  (J-PARC)
講演言語: 日本語
アブストラクト: ハイドロゲルを生体模倣材料とみなして、ソフト&ウェットマターの物性に関連する研究が広く行われている。2001年以降、機械測定に耐えられる強度を持った合成高分子ゲルが報告され、その機械強度メカニズムに着眼した研究が盛んに行われている。本セミナーではその中の一つである、ダブルネットワーク(DN)ゲルに関する中性子散乱法を用いた研究を中心に紹介する。  DNゲルは、2重の親水性高分子網目構造を持ち、最適化すると同程度の含水量であっても実際の関節軟骨に近い強度(20MPa)を超える。この二重の網目それぞれを重水素化試薬を用いて作成し、ラベルすることにより力学強度の増加の発現に関わるそれぞれの網目がゲル中でどのような構造を形成しているのか、また、それぞれの網目がマクロスコピックな変形に対してどのように作用して高強度化メカニズムを発現しているのかについて検討した。1つ目の網目である強電解質高分子poly (2-acrylamide-2-methylpropanesulfonicacid)(PAMPS) ゲルはPAMPSゲルのみに比べ、また2つ目の網目である中性の高分子であるpolyacrylamide (PAAm) はPAAmのみに比べ、マクロスコピックな静的構造は均一な構造をとり、またPAMPSとPAAmの両方の静的構造は不均一な構造をとることが分かった。また、50%の圧縮により一軸方向にのみ伸展された同高強度を有するDNゲルは、他の高強度ゲルには見ることができない1.5μmもの巨大な構造を有していることが分かった。セミナーでは、解析も含めて高強度化メカニズムを議論する。

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