物構研談話会

日時: 2012-06-15 10:00 - 12:00
場所: PF研究棟2階会議室
会議名: 物構研談話会(12-14) X線結晶構造解析により明らかになった黄色ブドウ球菌の2成分性膜孔形成毒素の膜孔形成機構
連絡先: 川崎政人4347
講演者: 田中 良和 氏  (北海道大学)
アブストラクト: 黄色ブドウ球菌は,ホスト細胞の血球を崩壊させるための,様々な膜孔形成毒素蛋白質 を分泌する.黄色ブドウ球菌の膜孔形成毒素は,単一の分子で構成されるα-ヘモリジンと,2つの成分から構成される2成 分性毒素に分類される.いずれの分子も可溶性の単量体として発現され,ターゲット細胞の表面で会合した後,多量体の膜孔を形成する.これまでに,α-ヘモリジンの7量体の膜孔構造と2成分性毒素の単量体構造の立体構造がX線結晶構造解析により明らかにされてきたが,2 成分性毒素の膜孔構造は未知であった.本研究では,2成分性毒素の1つである,γ−ヘモリジン(Hlg2とLukFから構成される)の膜孔構造を2.5Åの分解能で決定した.構造解析の結果,LukFとHlg2が4分子ずつ,交互に円
状に配置した,8量 体構造を形成していることが明らかに なった.単量体中では折り畳まれていたステム領域が伸び,2成分が交互に配置したβ-バレルを形成していた.これらの構造的特徴をもとに,我々は,2成分性毒素の膜孔形成機構を提案した.このモデルは,過去20年におよび蓄積されてきた黄色ブドウ球菌2成 分性毒素の生化学的研究を適切に説明するものである.

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