物構研談話会

日時: 2012-12-13 16:00 - 18:00
場所: MLF 第一会議室(東海)/4号館2階輪講室1
会議名: 物構研談話会(12-30)近藤半導体YbB12の超強磁場および超高圧力による誘起-非金属金属転移と新規ホウ化物の高圧合成
連絡先: 中尾裕則4868
講演者: 伊賀文俊氏  (茨城大学)
アブストラクト: 希土類の強相関電子系化合物は,殆どが低温で重い電子系金属になるが,逆に半導体的性質を示す奇妙な物質も,わずかであるが存在している。価数揺動半導体SmB6(価数2.6価)と近藤半導体YbB12(価数2.9)はその数少ない典型 例である。そのエネルギーギャップの大きさは、近藤温度の大きさにほぼ近いとされるが,その形成機構はいまだはっきりしない。伝導電子とf電子の混成効果によりギャップが形成されるというバンド描像(c−f hybridizationモデ ル)のほか,1サイト近藤効果によりギャップができるとするモデルなどがある。
 YbB12は50Tで磁化の回復が生じ,電気抵抗も2桁小さくなる振る舞いを示す。ここで非金属金属転移が起こっているとされたが,最近90T近傍で,新たな磁化の立ち上がりが見つかり,電気抵抗で見られていた2段目の大きなギャップの応答をとらえたものと思われる。また、DACを用いた電気抵抗の圧力変化では,SmB6が10GPaで反強磁性金属へと変化するのに対し、YbB12ではギャップが130GPaもの超高圧までつぶれず、顕著な違いを示す。
 希土類12ホウ化物はTb以上の重希土類でしか常圧下では合成されない。しかし、GdB12は6-12GPaで、さらにSmB12は15-20GPaで作成できることがわかった。これらの物性に付いて紹介する。

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