物構研談話会

日時: 2013-04-11 16:00 - 17:00
場所: 4号館2階輪講室1 東海1号館324室
会議名: 物構研談話会(12-32)フェリ磁性を示すスピネル酸化物の磁気・構造相転移
連絡先: 中尾裕則4868
講演者: 石橋広記先生  (大阪府立大学大学院理学系研究科)
アブストラクト: スピネル型構造をもつ遷移金属酸化物は、Aサイト(四面体配位の位置)またはB サイト(八面体配位の位置)に軌道自由度をもつ遷移金属イオンが占めるとき、 低温で様々な磁気秩序や軌道整列を示すことが知られている。その中でも、スピ ネル酸化物FeV2O4はA, B両サイトに軌道自由度を有しているというユニークな化 合物であり、逐次相転移や磁気・構造同時相転移、巨大磁歪効果などを示すこと から、最近精力的に研究がなされてきた。この物質は温度減少に伴い、140Kで立 方晶から正方晶HT(c < a)に、110Kでフェリ磁性転移に伴って正方晶HTから斜方 晶に、80Kで斜方晶から正方晶LT(c > a)に、さらに単結晶試料では35Kで正方晶 LTから斜方晶に相転移することが報告されている[1]。これらの相転移の起源は、 Fe2+およびV3+イオンの軌道整列およびスピン配列に起因することが最近示され た[2,3]。我々もこの物質についての多結晶および単結晶試料における磁化測定 を中心とした物性測定や回折実験を行ってきた。その結果、単結晶でしか報告さ れていない約30Kにおける相転移が多結晶試料においても観測され、さらに磁化 の温度変化には特徴的な飛びが見られた。しかし、このような現象の起源は未だ 明らかになっていない。本談話会では、我々が行っ
てきたFeV2O4多結晶における 回折実験および磁化測定の詳細について紹介する。
[1] T. Katsufuji et al, J. Phys. Soc. Jpn. 77, 053708 (2008)
[2] Y. Nii et al, Phys. Rev. B 86, 125142 (2012)
[3] G. J. MacDougall et al, Phys. Rev. B 86, 060414 (2012)

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