アブストラクト: |
短寿命核を物質中にイン・プラントし、β線検出によりNMRを観測するβ-NMR法は、放射線検出のため、通常のNMRにくらべて格段に感度が高い。この特徴を活かして、物質内部の様子を微視的に探る、あるいは不純物拡散などの動的挙動を直接的にとらえるためのプローブとして短寿命核を有効に利用できる。また、イン・プランテーションによるために、プローブと対象物質の化学的性質によらず、結晶格子中に様々な元素を導入することができる。実験上は、核スピン偏極した短寿命核の生成が大変重要であるが、近年の不安定核物理の発展により、プローブとして利用できる核種はどんどん増えつつある。一方、計算機の発達によって、新しい物性材料が理論的に予測、設計されるようになってきており、β-NMR法が、このような新規物質の開発研究に有効に活用できる可能性を持っている。講演では、β-NMRの原理、実験手法を述べ、最近の研究から、金属結晶中希薄不純物の電子状態、半導体中不純物の動的挙動などについて紹介し、今後の展望について議論したい。
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