KEKが主催/共催する研究会など

日時: 2007-03-05 - 2007-03-07
場所: KEK4号館1階セミナーホール
会議名: KEK研究会 ハドロン物理と超弦理論の再会 --- ハドロン、強結合プラズマ、そしてブラックホール ---
連絡先: 津田
URL: http://www-conf.kek.jp/hadron/GaugeGravity/index.html
アブストラクト: 開催趣旨: 弦理論は、70年代にハドロンのスペクトルの性質を説明する模型として 提唱されましたが、その後、ハドロンを記述する基礎理論としては、非可 換ゲージ理論である量子色力学(QCD)が確立しています。一方、超弦理論 は重力を含むことが明らかになり、むしろ統一理論の有力な候補として、 ハドロン物理とは異なる興味へと進み、その対象を拡大していきました。 ところが、近年、ハドロン物理と超弦理論との「再会」とも言うべき状況 が実現しています。その重要な契機となったのが「AdS/CFT対応」という、 超弦理論によって記述される重力理論と、超対称ゲージ理論との対応です。 この対応により、ゲージ理論の強結合領域を、重力の弱結合領域で解析す ることが可能になりました。例えば、有限温度でのAdS/CFT対応を用いて、 強結合ゲージ理論におけるプラズマの「ずれ粘性係数とエントロピー密度 との比」が非常に小さく、しかもその値は対応関係のある様々な理論に対 して同じ値になるという「普遍性」が見つかっています。一方で、相対論 的重イオン衝突実験であるRHICで生成された、高エネルギー密度のクォー ク・グルオンの状態が、素朴に予想されていた理想気体というよりも完全 流体に近い振舞いを示している可能性があるという報告が昨年なされまし た。これは、実験で作られた物質が強く相互作用していることを示唆して います。そして、この小さいずれ粘性が、AdS/CFT対応で見出された強結合 プラズマの小さな「ずれ粘性係数/エントロピー密度」と関係があるのでは ないかと考えられています。AdS/CFT対応を用いて現実のQCDと直接比較を することは現段階では難しいと考えられていますが、AdS/CFT対応という 手法は強結合のゲージ理論に対する解析的アプローチを与えるという意味 において、場の理論における方法としても非常に興味のある手法であると 考えられます。  このように、ハドロン物理と超弦理論の密接な関係が示唆されている状 況の下で、異なる二つの分野の研究者たちが集まり、互いに情報交換をし、 今後の可能性について議論する場を設けるのは非常に有意義であると考え られます。そこで本研究会では、それぞれの分野の現状を把握し、情報を 共有するために、長めのレヴュー講演を主軸とした構成を考えています。 短めの一般講演も受け付けますが、プログラムの都合上(下記参照)、全 ての申し込みを受け付けることができない可能性があることをご了承くだ さい。また、参加者間のコミュニケーションを密にするために、50名程度 の小規模な集まりとする予定です。申し込みが多数の場合には、参加を見 合わせていただく可能性もあります。なお、研究会の主目的は二分野間の 意思疎通にありますので、初日や二日目だけの参加ではなく、全期間の参 加を推奨します。

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