アブストラクト: |
有機分子や生体分子などソフトマター系の固体薄膜素子が近年急速に衆目を集めています。有機系薄膜は柔軟性、高品質性、分子設計の多様性など多くの利点があるため、次世代デバイスとして注目を集めており、既に有機ELデバイスとして使われているほか、有機FETさらにはDNAセンサーやDNAチップなど様々な開発が行われています。しかし、これらの材料設計に当たっては、有機薄膜/金属界面の電子構造、薄膜の成長機構や配向性、表面拡散など解明しなければならない数多くの研究課題があります。
一方、真空紫外・軟X線放射光の分野では、高分解能光電子分光法、X線定在波法、コインシデンス分光法、分散型XAFS、光電子顕微鏡などの先進的な分析手法が開発されています。これらの手法は有機・生体分子薄膜の構造と機能を明らかにするためには有力な手法と考えられますが、国内には有機・生体分子薄膜を専門に測定する高輝度真空紫外・軟X線放射光ビームラインがほとんどないのが現状です。
そこで本研究会では、真空紫外・軟X線放射光を用いた機能性有機・生体分子薄膜研究の現状を議論するとともに、今後、高輝度真空紫外・軟X線放射光を用いた機能性有機・生体分子薄膜研究をどう発展させていくかについても議論したいと考えています。
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