日時: |
2007-07-25 15:30 - 17:00 |
場所: |
PF研究棟2階会議室 |
会議名: |
放射光セミナー「ERLにおける超高速レーザー技術の果たす役割について」 |
講演者: |
板谷治郎氏 ((独)科学技術振興機構 ERATO腰原非平衡ダイナミクスプロジェクト・研究員(グループリーダー)) |
講演言語: |
日本語 |
URL: |
http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/ |
アブストラクト: |
次世代の汎用放射光として期待されているエネルギー回収型ライナック(ERL)は、現在の放射光施設の主流である第三世代放射光のもつ性能を包含しつつ、超短パルス性や部分的な空間コヒーレンスを合わせ持つ究極的な放射光光源である。その先端的な特性ゆえに、物質科学、生命科学、レーザー科学等の多岐にわたる分野への今以上の波及が期待されている。
ERLを実現するためには、サブピコ秒の時間幅をもつ低エミッタンスの電子バンチを、高い繰り返しで、高い信頼性を維持しながら発生させることが必要である。また、光誘起相転移のような超高速ダイナミクスを伴う現象の時分割測定には、ERLで発生する超短パルスX線と多様なレーザー光源との間での、精密なタイミング同期が不可欠である。
これらの目的を達成するためには、市販のフェムト秒固体レーザーとは異なる先端的な仕様を満たす高出力超短パルスレーザーを開発する必要がある。また、その研究開発体制を早期に立ち上げて、フォトカソード材料や電子銃の開発と協調して、全体のシステム開発を進めていくことが望ましい。
本講演では、超短パルスレーザー開発に携わっている者の視点から、ERLの実現に必要なレーザー技術を概観し、フォトカソード励起用レーザーの開発ロードマップの例を説明する。また、筆者が滞在しているローレンスバークレイ国立研究所の放射光施設におけるフェムト秒スライシングビームラインの現状を報告し、加速器・放射光技術と超高速レーザー技術との融合によってもたらされる光科学の可能性に関しても言及したい。 |