日時: |
2007-10-29 10:00 - 11:00 |
場所: |
PF研究棟2階会議室 |
会議名: |
放射光セミナー「Stem Cell Factor刺激前後の受容体チロシンキナーゼKITの細胞外領域の結晶構造」 |
講演者: |
湯沢 聡 氏 (Yale University School of Medicine, Department of Pharmacology) |
講演言語: |
日本語 |
URL: |
http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/ |
アブストラクト: |
受容体チロシンキナーゼ(RPTK)は、細胞外からのシグナルを細胞内に伝える重要な働きを持つタンパク質である。RPTKは細胞外リガンド結合領域、1回膜貫通領域と細胞質内のチロシンキナーゼドメインから構成され、受容体の細胞外領域の特徴からいくつかのサブタイプに分類される。KITは3型RPTKに属し、ほかにCSF1受容体、Flt3受容体、PDGFa受容体とb受容体が含まれる。このクラスのRPTKは、5つのイムノグロブリン(Ig)様のドメインからなる細胞外領域、1回細胞膜貫通領域を介し、細胞内領域にキナーゼ活性の制御に関わる細胞膜近傍領域、キナーゼドメインをもつ。キナーゼドメインが様々な長さの挿入領域で分割されているのも、このクラスの RPTK の大きな特徴である。 近年、KITを含むこのファミリーの細胞膜近傍領域を含むキナーゼドメインの構造が報告され、その制御機構が明らかになりつつある。一方細胞外領域の構造は未だ明らかになっていない。また、KITの機能獲得型変異が消化管間質腫瘍に関連することが知られており、分子標的薬剤のターゲットとしても注目されている。
今回、我々はKITのほぼ全長の細胞外領域について、リガンドである幹細胞増殖因子(Stem Cell Factor:SCF)刺激前後の構造をX線結晶構造解析により明らかにした。リガンド結合に伴い、細胞膜近傍付近のIg様ドメインの再配置が受容体活性化に重要であることが明らかになった。本セミナーでは、SCF刺激前後のKIT細胞外ドメインの構造変化に焦点を当て、その活性化の機序についてお話しさせていただきます。 |