放射光セミナー

日時: 2002-11-22 16:00 - 18:00
場所: 放射光研究棟2階会議室
会議名: 放射光セミナー「ERLとFELのコヒーレンス 」       
講演者: 宮原恒あき氏  (東京都立大学大学院理学研究科)
講演言語: 日本語
URL: http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/
アブストラクト:   「コヒーレンス」は、通常、単色性を前提とした上で1次空間コヒーレンスにつ いて語られることが多い。しかし「短パルス」を問題にすると、本来6次元位相空間 で定義された光子の素性が顔を出す。すなわち、空間の4次元と(周波数、時間)の 2次元がデカップルできる近似が成立しなくなる。そもそも、1電子の放射を考える と偏向電磁石からの放射はアンジュレータ放射よりはるかに短パルスである。すなわ ち電場の時間依存性は、正(符号は逆にもとれるが)の鋭いピークとともに、その前 後に負の長いテールを引く構造を持つ。この鋭いピークと比較するとアンジュレー タからの1電子による光は、数100倍から数1000倍も長くなるのが普通である。  多数の電子がバンチとして集団をなす場合は、それぞれの電子がつくる場の干渉性 が問題になり、それがFELとERLの差異をもたらす。一方、光子統計は2次以上 のコヒーレンスに関するから独立な概念であり、非常に強力(ボーズ縮重度が大きい) な光であるにもかかわらず、全くのカオス光である場合も存在する。  また原理的な問題として、種々のコヒーレンスは、観測次第で多様に見えることも 明らかにする。また、そうであるがゆえに、個々の実験的研究において、コヒーレン スを変調する過程(分光器はそもそもコヒーレンスを変形する)が、装置だけでなく、 物性の中にも存在する事を示す。更に、どのようなコヒーレンスが有効に利用でき整 合性がとれるのか、また、逆にどのようなコヒーレンスが実験とミスマッチをおこし て有効に利用できないかについても論ずる。

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