日時: |
2008-02-20 10:00 - 11:00 |
場所: |
構造生物実験準備棟会議室 |
会議名: |
放射光セミナー「アルツハイマー病治療薬の現状と今後の展望」 |
講演者: |
杉本八郎 教授 (京都大学大学院薬学研究科創薬神経科学講座) |
講演言語: |
日本語 |
URL: |
http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/ |
アブストラクト: |
アルツハイマー病治(AD)療薬としては二種類のメカニズムによるものがある。ひとつはアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害作用、ふたつはNMDA受容体拮抗作用に基づくものである。前者の代表的なものがドネペジルであり後者にはメマンチンがある。最近、我々はAChE阻害薬はアセチルコリンの増加作用のほかに虚血時における細胞保護作用やグルタミン酸の細胞毒性を抑制することが報告した。またアルツハイマー病の原因物質といわれるβアミロイドの細胞毒性を減少させることも知られている。ドネペジルはMild Cognitive Impairment (MCI) の状態からAChE阻害薬を処方すると投与後も効果が持続するという報告がある。早期の段階かからAChE阻害薬を処方するとさらなる効果が期待できるということと細胞保護作用との関係があるかも知れない。MCIの段階から対応はこれからの治療戦略の中心課題になると思われる。
ADの原因療法にせまる仮説としてアミロイド仮説がある。ADの患者の脳内にはβアミロイドが凝集し、それが発症の原因であるというものである。すでにこの仮説に基づいて臨床試験に入っているものがあるといわれている。アミロイド仮説に基づく創薬についても詳しく述べたい。 |