放射光セミナー

日時: 2008-06-09 13:00 - 14:00
場所: 構造生物実験準備棟会議室
会議名: 放射光セミナー「糖鎖の構造生物学のためのセレン原子含有糖鎖プローブの提案」
講演者: 安藤弘宗氏  (岐阜大学応用生物科学部 生理活性物質学研究室)
講演言語: 日本語
URL: http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/
アブストラクト: 細胞表面に存在する糖鎖および複合糖質(糖脂質、糖タンパク質など)は、細胞の最前線で細胞―細胞間(自己および非自己)、細胞―細菌、ウィルス間の相互認識のインターフェイスとして機能しており、細胞の増殖、分化、組織形成、細胞性免疫、細菌、ウィルス感染、がん細胞転移といった重要な生命現象の初期段階に深くかかわっている。この相互認識を分子レベルで表現すると糖鎖―タンパク質間の相互作用となり、この分子間の相互作用の解析が、ひいては医薬開発に重要な基盤情報を提供することは予想に難くない。 我々は、細胞表層糖鎖の化学合成を拠りどころにして、合成糖鎖をプローブとした分子レベルでの糖鎖機能解明の研究を進めている。そのなかで、糖鎖−タンパク質複合体のX線結晶構造解析によって、糖鎖−細菌毒素、糖鎖―レクチンの認識機構の解明に成功している。しかし、この研究の過程で、共結晶のX線結晶構造解析における種々の問題点を自覚するに至った。そこで、我々は、X線結晶構造解析用の糖鎖プローブとして、セレン原子を有する糖鎖を合成し、MAD法への応用を模索している。 本講演では、糖鎖合成のあらましと、糖鎖―タンパク質複合体のX線結晶構造解析に合成糖鎖を応用した例を紹介し、新しい糖鎖プローブとしてセレン含有糖鎖の可能性を議論させていただく。

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