日時: |
2008-09-10 14:00 - 15:00 |
場所: |
構造生物実験準備棟会議室 |
会議名: |
放射光セミナー「ガングリオシドGM3の生物学的意義の解明を目指して」 |
講演者: |
井ノ口仁一氏、上村聡志氏 (東北薬科大学薬学研究科生化学) |
講演言語: |
日本語 |
URL: |
http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/ |
アブストラクト: |
当研究室では、クレスト研究としてガングリオシドの病態生理学的意義を多角的に追求しています。その中で、内臓脂肪細胞のインスリン抵抗性の新たな発症機序として、インスリン受容体とカベオリンの複合体が炎症性サイトカインによって増加したガングリオシドGM3が解離することを証明しました。また、GM3合成酵素(SAT-I)のノックアウトマウスは、内耳の蝸牛に存在するコルチ器が選択的に変性することによる聴覚障害を示すことなどを見いだしてきています。このように、SAT-Iはガングリオシド生合成経路の初発段階で作用する重要な鍵酵素でありますが、細胞内動態に関してはよくわかっていませんでした。
最近我々は、GM3合成酵素には細胞質領域のN末端鎖長の異なるアイソフォームが存在し、最も細胞質領域の長い(69 aa)SAT-Iはゴルジ体ではなく小胞体に局在していました。このSAT-Iアイソフォームには、小胞体への逆行輸送シグナルとしてN末端領域に複数のアルギニン残基(R-based motif)が存在していることを糖転移酵素として初めて証明しました。ここでは、SAT-Iの小胞体局在化の生物学的意義などについて議論したいと思います。 |