放射光セミナー

日時: 2010-07-23 16:00 - 17:00
場所: PF研究棟2階会議室
会議名: 放射光セミナー「MCDとEXAFSによる分子吸着Fe/Cu(001)磁性薄膜の磁気構造と薄膜結晶構造の観察」
講演者: 阿部 仁  (PF)
講演言語: 日本語
URL: http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/
アブストラクト: 磁性薄膜に分子等を吸着させることにより、その磁性が変化することが知られている。しかし、その変化の理由はよくわかっていない。そこで磁性薄膜へ の分子吸着の影響の理解を深めるため、Fe/Cu(001)磁性薄膜のCO吸着、NO吸着による変化をXMCDとEXAFSを用いて調べた。Fe /Cu(001)は多くの研究が行われてきた典型的な磁性薄膜であり、またCO, NOは最も単純な異核二原子分子と言えるため、磁性薄膜と分子との相互作用を扱いやすいと考えてこのような系を選択した。Fe/Cu(001)は4 MLまで一様な面直磁化を示すが、CO吸着、NO吸着後はいずれも面内磁化となり、見かけの(平均の)磁化は減少した[1-3]。深さ分解XMCD法によ る解析から、例えばCO/Fe(4 ML)/Cu(001)では表面側2 MLの磁化消失、NO/Fe(4 ML)/Cu(001)では表面反強磁性となっていることがわかった。このような磁気構造の変化と薄膜結晶構造の変化に相関があるのではないかと考え EXAFS実験を行ったところ、CO/Fe(4 ML)/Cu(001)では4 MLのうち2 MLの構造が変化している様子が得られ、これが磁化消失層に対応していると考えられる。NO/Fe/Cu(001)のEXAFS実験は始まったばかりであ るが、現状をお話したい。 [1] H. Abe, et al., PRB 77, 054409 (2008). [2] 阿部 仁, 他, 表面科学 30, 339 (2009). [3] H. Abe, et al., J. Phys.: Conf. Ser. 109, 012109 (2009).

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