日時: |
2004-04-09 14:00 - 15:00 |
場所: |
物構研4号館2階輪講室1 |
会議名: |
放射光セミナー「Control of Lattice Dynamics by Femtosecond Coherent Anti-Stokes Raman Scattering」 |
講演者: |
高橋淳一氏 (JSR CREST研究員、千歳科学技術大学) |
講演言語: |
日本語 |
URL: |
http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/ |
アブストラクト: |
Coherent anti-Stokes Raman Scattering (CARS)は2本の異なるエネルギーを持つ光 を試料に入射し、両者のエネルギー差に対応した素励起を共鳴励起することで、高強 度のラマン信号を発生させるものであり、レーザーが開発された初期の時代から代表 的な非線形コヒーレント光学分光手法として広く研究が行われてきた。近年、高強度 レーザーの進展はめざましいものがあり、CARSもまた、単に系中の素励起をプローブ するだけにとどまらず、より積極的に、大振幅のコヒーレント振動を発生し、系のマ クロなダイナミクスを変化させることで、新規な非線形光学現象を発生させるのに用 いることができる。我々はOPAから発生するシグナル光、アイドラー光を用いたフェ ムト秒CARSにより、固体のCARS分光を行ってきた。本セミナーでは以下の3つの話題 について述べる。
1.Multi-Step Coherent anti-Stokes Raman Scattering
入射励起光のエネルギー差をフォノン周波数に共鳴させるとフォノン高調波が
効率的に発生することを見出した。
2.Commensurate excitation of impulsive phonons
入射励起光のエネルギー差がフォノン周波数の整数倍の場合、フォノンとは非
共鳴であるにもかかわらず、フォノン高調波が効率的に発生することを見出した。
3.Phonon Parametric Amplification
SrTiO3は全てのフォノンがラマン禁制であり、ラマンスペクトルは2フォノン
の和ないし差で構成される。この系においてフェムト秒CARSを行うと、2フォノンバ ンドに対応したCARS信号の代わりに1フォノンに対応した信号が得られた。これは2フ ォノン状態からパラメトリック増幅により1フォノンが生成されたことを示してい る。また、ラマン禁制なフォノンに対応した信号が観測されたのは系に動的な対称性 の破れが発生し選択則が変わったためであると考えている。 |