放射光セミナー

日時: 2004-11-15 13:30 - 14:30
場所: 放射光研究棟2階会議室
会議名: 放射光セミナー「円偏光スイッチングによる生体分子のVUV・SX自然円二色性の研究 」
講演者: 中川和道教授  (神戸大学 発達科学部)
講演言語: 日本語
URL: http://pfwww.kek.jp/pf-seminar/
アブストラクト: アミノ酸蒸着膜の自然円二色性NCDを、軟X線領域で測定することに成功した。SPring-8 BL23SUのヘリカル・アンジュレーターを用いて左右円偏光を0.1 Hzで、機械的にスイッチングし,ドレイン電流法で統計処理を加味した測定手法を用い、窒素K殻領域(408eV付近)と酸素K殻領域(540eV付近)とで測定を行った。                             右旋性アミノ酸のCDは左旋性フアミノ酸のCDと絶対値(吸収極大の0.2 %程度)が等しく、符号が反対であり、ラセミ体はCDを示さないことが分かった。実験で得られたCDピークのエネルギー位置は、AgrenグループによるE1M1機構にもとづく計算結果とは、完全には一致しなかった。Goulonらは硬X線領域の金属錯体のCDをE1E2機構で説明しており,軟X線でのCDの起源はまだ明らかでない。                             我々はまた、VUV領域でのNCD検出を、産総研つくばのTERASにおいて試みてきた。小貫型の直交遅延磁場型アンジュレーターを用いて、左右円偏光を機械的に3Hzでスイッチングし、ロック・イン・アンプで信号を読み出した。 測定の最短波長は現在130nmまで記録更新され、100nmを目指して鋭意前進中である。 TERASでの経験からは、アンジュレーターの周期数が大きくない方が分光には適しているとの感触が得られている。このあたりの経験についても議論したい。

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