物理セミナー

日時: 2008-05-21 13:30 - 15:00
場所: 日本原子力研究開発機構研究1棟第5会議室
会議名: 第9回TRIACセミナー「超新星爆発とニュートリノ」
連絡先: 029-284-4863/nobuaki.imaikek.jp
講演者: 住吉光介  (沼津高専)
講演言語: 日本語
アブストラクト: 太陽質量の10倍以上の質量を持つ大質量星の進化の最期には 重力崩壊により超新星爆発という華々しい天体現象が起こる。 1987年に観測された超新星爆発においては、超新星からの ニュートリノが地上で初めて検出されて、超新星メカニズムの 粗筋の理解が進んだ。超新星爆発は、中性子星・ブラックホールを 生み出すもとであり、鉄よりも重い元素(金・プラチナ・ウランを 含むrプロセス元素など)の起源として最有力候補であり、 銀河・宇宙の進化の基礎となっている。その全容の理解は宇宙・ ニュートリノ・原子核物理にまたがる重要課題であるが、 理論的には爆発メカニズムは完全に解明されてはおらず、 最新の数値シミュレーション上でも爆発を再現できたとはいえない 状況にある。 本講演では、こうした超新星爆発の物理について概観すると共に、 そこでのニュートリノ原子核物理の重要性に重点をおいて、 超新星爆発研究の現状と課題についておはなししたい。 ニュートリノは超新星コアにおいて重要な役割を果たしており、 高温高密度における反応、原子核との反応が爆発ダイナミクスの 鍵となっている。こうした反応率の核データが大規模数値 シミュレーションに組み込まれて、爆発するか否かの検証が 行われている。また、次の超新星爆発でニュートリノが地上で 精密に検出されれば、その性質から爆発メカニズム、高温高密度物質、 元素合成についてのさらなる知見が得られるはずである。 こうした観点から超新星とニュートリノについて講演する予定である。

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