物理セミナー

日時: 2008-06-06 13:30 - 15:00
場所: 日本原子力研究開発機構 先端基礎研究交流棟 3階第2センター会議室
会議名: 第10回TRIACセミナー 「超流動ヘリウムを用いた新しい超冷中性子の発生」
連絡先: 029-284-4863/nobuaki.imaikek.jp
講演者: 増田 康博   (KEK素核研)
講演言語: 日本語
アブストラクト: 中性子は、物質を構成する原子核によって散乱されるが、そのとき、中性子のエネル ギーが核力に起因するフェルミポテンシャル(数百 neV)より低くなると物質表面で 全反射される。このような中性子を超冷中性子という。超冷中性子は、物質容器や磁 気ポテンシャルの中に閉じ込めることができ、中性子電気双極子能率やベータ崩壊 等、中性子の基本的な性質を調べることができる。また、重力の精密や中性子標的に も用いることができる。これらの実験を行うとき、超冷中性子の位相空間密度が重要 となる。これまでの超冷中性子の生成では、原子炉から取り出された冷中性子を重力 とタービンの後退翼によるドップラー効果で減速するという方法が採用されてきた。 この方法では、Liouvilleの定理により、原子炉内での位相空間密度を超えることが できない。最近、Liouvilleの定理による限界を超える新しい超冷中性子の発生法が 研究され、実用化されつつある。今回、冷中性子を超流動ヘリウム中のフォノンを用 いて冷却する方法について紹介したい。

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