アブストラクト: |
原子炉ニュートリノ実験Double Choozによる最初のニュートリノ振動解析の結
果を報告する。
Double Chooz実験ではフランス・Chooz原子炉から1kmの距離に検出器を設置し、
高精度で反電子ニュートリノエネルギースペクトルを測定することによりニュー
トリノ振動の研究を行う。2011年4月には検出器コミッショニングを完了し、
物理データの取得を開始した。
今回は約100日分の物理データを用いてニュートリノ振動解析を行った。観測
されたニュートリノ事象数およびエネルギースペクトルを用いた解析の結果、
反電子ニュートリノの欠損が確認された。この結果は、3つのニュートリノ混
合角のうち、唯一未測定だったθ13がゼロではない有限値を持ち、近距離での
原子炉ニュートリノ振動が存在することを示唆している。
さらに、今年6月に報告された加速器によるニュートリノビームを用いたT2K実
験による結果と、今回のDouble Chooz実験による結果を合わせることにより、
θ13が有限値を持つことが3シグマ以上の高い有意性で確認された。
この測定結果は、ニュートリノセクターにおけるCP対称性の破れの測定の可能
性を拓くものである。
|