物理セミナー

日時: 2011-12-20 16:00 - 17:00
場所: 4号館 345号室
会議名: AMSの状況報告
連絡先: Koji Yoshimura kek.jp>
講演者: 灰野禎一  (INFN Perugia)
講演言語: 英語
URL: http://seminar.kek.jp/physics/index.html
アブストラクト: Alpha Magnetic Spectrometer (AMS-02) は素粒子実験を宇宙空間に応用したものである。 その目的は、GeV から数 TeV までの、荷電粒子宇宙線を、高精度で、長時間観測し、 初期宇宙起源の反物質や、暗黒物質の対消滅シグナルの存在を探ることにある。 近年、新世代の宇宙線観測実験から得られた過剰な陽電子比率が、暗黒物質存在の間接的な 証拠になりえるため、この議論が脚光を浴びてきている。 更に、最近のデータから、主要な一次宇宙線における、Rigidity で数百 GV 以上での、 スペクトルのブレークが示唆されている。 AMS-02 は今のところ、反粒子比率や一次宇宙線スペクトルの測定精度を 有意に向上させることができる、唯一の実験である。 AMS-02 のデータ収集は、スペースシャトル STS-134 の打ち上げと、 国際宇宙ステーションへのインストールの後、2011年5月19日に開始された。 永久磁石(0.15 T)の中に収められた7層のシリコン検出器と、最外にある2層によって、 飛跡検出を行い、荷電粒子の曲率からその Rigidity と電荷符号を決定する。 遷移放射検出器 (TRD)と、電磁カロリメータ(Ecal)によって、それぞれ独立して、 電子と陽電子を陽子や反陽子から分離することができる。 大きなアクセプタンス (~0.5 m2sr) と最低10年間のデータ収集によって、 AMS-02 は、未だかつて達成されたことのない数の粒子事象を得ることができるはずである。 セミナーでは、最初の数カ月のデータ収集によって得られた、 測定器の現状、性能、そして、今後の可能性について議論する予定である。

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