理論セミナー

日時: 2004-05-27 15:00 -
場所: 4号館3階輪講室1 345
会議名: 「有限系におけるゲージ対称性の破れの問題点とその解決」
連絡先: 丹後
講演者: 清水明  (東京大学大学院総合文化研究科)
講演言語: 日本語
アブストラクト: 相転移の理論は無限系に対しては綺麗に整備されているが、現実の相転移は全て有限系で起こっている。そこで、物理としては有限系の相転移を解明する必要があるわけだが、そこでは無限系の理論にはない数々の問題が発生する。ここでは特に、有限体積のボーズ凝縮体や超伝導体で起こるU(1)ゲージ対称性の破れについて、様々な問題点を述べ,その解決法を議論する.具体的には,以下のような点ついて議論する: (i) Symmetry-breaking field がない場合,エネルギー最低の状態は,相関関数には長距離相関があるが,ゲージ対称性は,オーダーパラメータが有限の値を持つという意味では,破れていない. (ii) それよりもエネルギーの高い,ゲージ対称性が(上記の意味で)破れた状態は,どういうときに,どういうメカニズムで実現しうるのか? (iii) クーロン力による厳しい電荷中性条件がある超伝導体においては,どういう状態が,ゲージ対称性が(上記の意味で)破れてかつ安定な状態として出現しうるか? (iv) 有限系では,ゲージ対称性が(上記の意味で)破れた状態と,超選択則とは,どうやって整合するか? (v) よく,「可観測量はゲージ不変であるべし」と言うが,これだと有限系の相転移を論じる際には,様々な不都合が生ずる.だから,正しくは「可観測量はゲージ不変である必要はないが、その測定値はゲージ不変であるべし」とするべきである.(無限系でも,このように言う方が正しいと思う).

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