理論セミナー

日時: 2007-02-23 16:00 - 17:00
場所: 研究本館3階321室
会議名: Brueckner-AMD法の軽い核への適用とパリティ・角運動量射影について
連絡先: 津田
講演者: 富樫 智章  (北海道大学大学院 理学研究科)
講演言語: 日本語
アブストラクト: 反対称化分子動力学法(AMD法)では、原子核の波動関数は、各核子の波動関数をGauss波束で表現し、それらのSlater行列式によって表される。モデルを仮定せずに様々な空間的配位を記述できるため、多様な構造を持つ軽い原子核の研究において成功を収めてきた。しかしこれまでの研究では相互作用として現象論的な相互作用が用いられてきた。そこで、我々はBrueckner理論を基に「現実的核力」を用いてAMD計算を行なう「Brueckner-AMD」法を開発し、幾つかの軽い原子核の構造を記述することを試みている。 AMD波動関数が1つのSlater行列式で表現される時にはAMD-HF法により1粒子軌道とエネルギーが定義されG-matrixを計算することが可能になる。しかし、一般にAMD波動関数はパリティ・角運動量が良い状態になっておらず、そのままでは各エネルギーレベルの状態を詳細に議論できない。パリティ・角運動量が保存した状態を作るには、Slater行列式を空間反転及び回転させた状態の重ね合わせ(パリティ・角運動量射影)を取らなければならない。こうした多Slater行列式ではG-matrixの計算に必要な模型空間や1粒子軌道・エネルギーの定義に不定性が残る。そこで我々はG-matrixを計算する際に用いるBethe-Goldstone方程式を解いて得られる「相関関数」を用いて異なるSlater行列式の間のG-matrixを計算することを提案している。今回はこの方法に対するパリティ・角運動量射影への適用性について議論する。

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