理論セミナー

日時: 2007-11-13 14:00 - 15:00
場所: 研究本館3階321室
会議名: ダブルスリットにおける干渉縞と経路識別の相補性と不確定性関係
連絡先: 津田
講演者: 谷村省吾准教授  (京都大学大学院情報学研究科)
講演言語: 日本語
アブストラクト: 電子のダブルスリット実験は粒子と波動の二重性を顕示する実験としてよく知られており、 電子がどちらの孔を通ったか測ろうとすると、干渉縞がかき消されてしまうのは、位置と運動量の不確定性関係のせいだという説明もしばしばなされる。近年、小澤正直氏が不確定性関係を再定式化し検討して、不確定性関係の数学的・物理的意味がよく理解されるようになった。とくに不確定性関係には、Kennard-Robertson型とHeisenberg-Ozawa型とでも呼ぶべき種類があることが明確になった。そこで、この不確定性関係の新しい定式化と照らして、ダブルスリットにおける干渉縞と経路識別の相補性の起源を調べるのは意味があることであろう。我々は代数的量子論の視点からダブルスリットのモデルを分析し、干渉縞と経路識別の相補性の起源は、干渉縞を特徴付ける演算子と、経路識別のための演算子の非可換性にあることを示した。この研究について報告したい。なお、この研究は現在小嶋泉氏と共同研究を進めている課題である。

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