日時: |
2008-10-16 16:00 - 17:00 |
場所: |
研究本館3階321室 |
会議名: |
量子エネルギーテレポーテーション |
連絡先: |
津田 |
講演者: |
堀田昌寛 (東北大学理学研究科) |
講演言語: |
日本語 |
アブストラクト: |
スピン鎖系の基底状態には複雑な量子もつれが現れる場合が多い。この量子もつれは、局所的エネルギー密度でその特徴を見ることが可能である。基底状態に対する期待値が零になるようにエネルギー密度の原点を定めると、量子的にもつれた基底状態をもつスピン鎖系は局所的に負エネルギー密度をもつ励起状態 を持つことが示せる。この負エネルギー密度は、状態重ね合わせを通じてあるスピン鎖部分の量子ゆらぎだけを基底状態のゆらぎより抑制することによって発生する。ある部分領域では基底状態の量子ゆらぎは他の状態より高いエネルギーをもっていることになるが、この差分のエネルギーを情報理論的手法で取り出すプロトコルを 提案した。スピン鎖の離れた2地点A、Bにおいて、このプロトコルではAのスピンに対してある観測量を理想測定し、その結果をBの古典通信で伝え、Bのスピンに測定結果に依存したあるユニタリ変換を行う。この操作中の系の時間発展が無視できる場合(従ってユニタリ変換の前にはB近傍は局所的基底状態のまま)でも、A 地点の量子測定でスピン鎖に注入されるエネルギーの一部がB地点近傍領域から取り出せることが示せる。この新しいエネルギー輸送では途中のスピン鎖部分に熱を発生させない特性があるため、将来ナノマシンなどへの応用も期待される。なお時間があれば量子光学系に対するプロトコルも説明する予定である。
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