理論セミナー

日時: 2008-11-26 14:00 - 17:15
場所: 研究本館3階321号室
会議名: 乱流の統計理論
連絡先: 津田
講演者: 吉田恭氏  (筑波大学)
講演言語: 日本語
アブストラクト: 空気や水などの流体の流れの乱れた状態、すなわち乱流、の力学系としての 特徴は(1)大自由度系(多スケール性)、(2)強い非線形性(各自由度間の強 い相互作用)(3)非平衡系(エネルギーのマクロな流れがある)、などが挙 げられる。(1)の性質ゆえ統計力学的な扱いが有効であると期待されるが、 (3)の性質のため既に確立されている平衡系の熱力学・統計力学は使えない。 平衡系やその近傍での統計力学に比べると、乱流の統計力学は未熟である。 それでも、1940年代までにKolmogorovの理論などにより、乱流においては スケール間をエネルギーがカスケードするという物理的描像は得られている。 この描像は系が著しい非平衡状態にあることを示唆している。講義の前半 では、乱流に特徴的なこの描像についてレヴューする。講義の後半では、 1950年代以降のKraichnanなどによる流体の基礎方程式Navier-Stokes方程式 からエネルギースペクトルなどの統計量について閉じた式を求める近似手法 (完結近似)について説明する。また、完結近似のその後の発展などに ついても触れたい。

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