理論セミナー

日時: 2010-07-12 14:00 -
場所: 研究本館3階322室
会議名: 水素分子の光解離による量子もつれH(2p)原子対の生成とその量子もつれ変化過程
連絡先: 佐々木、tsasaki AT post.kek.jp
講演者: 田辺 健彦  (東京工業大学)
講演言語: 日本語
アブストラクト: 「量子もつれ」は量子力学の非日常性を端的に示すだけでなく、量子計算などの次世代情報技術において本質的役割を果たすため、最近は応用の観点からも注目されています。さて、本セミナーでは我々が最近取り組んでいる、化学の立場から量子もつれに注目した研究を紹介します。  我々は以前、水素分子の光解離で生成したH(2p)原子対が量子もつれ状態にあると、それが放出するLyman-α光子対が特徴的な角度分布を示すことを理論的に予測しました。この通り、化学反応とも言える「分子の光解離」による量子もつれ原子対生成の検証は興味深い研究課題です。そこでこの予測の検証を目的として、Lyman-α光子対の角度分布を測定しました。その結果、水素ガス圧の低下に伴い角度分布の実測値は理論予測へ近付く、つまり予測通り量子もつれH(2p)原子対生成を示唆する結果を得ました。さらにこの圧力効果は、量子もつれH(2p)原子対と水素分子の反応による、「H(2p)原子対の量子もつれ変化過程」に起因することを突き止めました。本セミナーでは、理論予測の概要とその検証実験の詳細を概説します。

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