アブストラクト: |
高次元時空における数値相対論は、高次元ブラックホールの安定性や、高次元重力への検証のような現象を調べる有用な道具の一つとなった。高次元重力理論において、プランクエネルギーがTeVスケール程度としても現時点での重力実験と無矛盾であり、 LHCなどの高エネルギー粒子衝突実験において、極小ブラックホールが形成される可能性が指摘された。プランクスケール以上では本来量子効果を考慮すべきであるが、高エネルギー粒子衝突において、プランクスケールを超える物理過程は生成されるブラックホールの地平面に隠されると信じられている。このスケールでのブラックホール形成の段階は、高次元の一般相対論でよく記述できると考えられているため、形成段階を調べるために高次元高速ブラックホールの衝突を用いる。本発表では、数値相対論について簡単に触れた後、高次元数値相対論を用いた高次元ブラックホール衝突についての結果を発表する。まず、ブラックホール正面衝突からの重力波について述べ、衝突係数を持つブラックホール衝突において、ホライズンに囲まれないプランクスケールを超える領域が生成されることを数値的に示す予定である。 |