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last update: 11/05/09  
 機構長コラム
   
鈴木厚人機構長
鈴木 厚人 機構長
2011.05.09

震災によるKEKの被害状況と今後の復旧に向けて

このたびの大震災に際して、世界各国の研究者や研究所の多くの方々から、心温まるご支援と励ましのメッセージを戴きました。心から感謝とお礼申し上げます。KEKは一日も早くもとの活気ある研究機関に復活すべく、全力を挙げています。皆様からの強い応援は、この困難な時期を乗り越える大きな勇気と活力の源となっております。
 
KEKのつくばと東海キャンパスは、震源地から約300km以上も離れていたにもかかわらず、震度6の大きな揺れに見舞われ甚大な被害を受けました。
 
つくばキャンパスでは、加速器、測定器、そして、それらの周辺機器が落下や破損しました。さらに、特高受電や分電装置、貯水タンク、周辺道路等の基盤施設・設備にも被害が及んでいます。現在は応急修理によって、それらの機能の一部が回復している状態です。一方、海岸地帯の東海キャンパスにあるJ-PARCは、かろうじて津波の被害から免れました。しかし、道路の陥没や亀裂、施設建物の一部崩落などの被害が出ています。地下に設置されている加速器や測定装置には、幾多の漏水や破損などがあるものの、今のところ大きな被害は報告されていません。両キャンパスの被害状況は、目視による検査を終了し、部分通電や通水による詳細検査に移行しました。被災状況の写真は次の一覧図及びPDFファイルに載せてあります:
      ・ 被災施設一覧図
      ・ KEK被害状況 (PDF:7.8MB)
      ・ J-PARC被害状況 (PDF:881KB)
 
KEKの現時点での最優先事項は、大学共同利用機関、かつ世界の最先端加速器科学研究機関として、できる限り早期の研究活動の再開にむけた全施設・設備・装置の復旧にあります。つくばでは、線型加速器と放射光施設の復旧に全力を尽くし、5月または6月中に調整運転を行い、それと並行して準備が整い次第、秋以降の利用実験を開始する予定です。SuperKEKBの建設を遅らせることなく、スケジュール通りに進めることも、最優先事項の一つです。幸いにも、KEKB加速器とBelle測定器の被害が比較的少なかったため、明るい見通しを持っています。国際リニアコライダーやエネルギー回収型線型加速器等の先端加速器開発の研究活動再開も、5月中を目標にしています。J-PARCでは、しばらくの間、全施設・設備・装置の被害箇所の詳細検査、修復、復元に全力を挙げ、遅くとも年内にはこれらを全て終了させて、来年1月からの利用研究再開を目指します。下記の図は復興プランをまとめたものです。
 
これまでの多くの方々からの大いなる、そしてたゆまぬ励ましに支えられて、KEKは被害調査の段階から、復興作業に主力が移ってきました。全職員は不退転の決意を持って、KEKの復興と新しいKEKの創設にまい進します。重ねがさね、皆様のご厚誼に感謝いたします。
 


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