News Asian Accelerator Plaza 日本語

X線自由電子レーザー施設SACLAにおけるレーザー増幅の達成

理化学研究所 播磨研究所
放射光科学総合研究センター XFEL研究開発部門
Undulator beamline, a laser amplifier part of SACLA(SPring-8 Angstrom Compact free-electron LAser)
Photo by courtesy of RIKEN

独立行政法人理化学研究所と財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)は共同で、2006年を初年度とする5ヶ年の建設プロジェクトとしてSPring-8に隣接してX線自由電子レーザー(XFEL)施設 SACLA(SPring-8 Angstrom Compact free-electron LAser)の建設を進めてきました。

2011年3月には予定通り施設が完成し、引き続き3月21日からX線領域でのレーザー増幅達成に向けビーム調整を開始しました。約3ヶ月のビーム調整期間を経て、6月7日16時10分に、SASE(自己増幅型自発放射)モードにおける1.2 ÅのX線レーザーの増幅に成功しました。

今後は、さらに高強度・短波長のX線レーザーを60 Hzの繰り返しで安定に供給、利用するための調整を実施し、2011年度内に、国内外に開かれた施設として供用運転を開始できるよう整備を進めていきます。

SACLAは単結晶カソード熱電子銃、低エミッタンス入射器、C-band高勾配RF加速システム、短周期真空封止アンジュレータ等、日本の独自技術を結集することにより、施設規模を可能な限り小型化するよう設計された世界初のX線自由電子レーザーシステムです。SACLAではSCSS(SPring-8 Compact SASE Source)という概念が基本設計に採用されていますが、今回の世界最短波長でのレーザー増幅達成はSCSSという設計概念の妥当性を裏付けるものです。大型の第3世代放射光X線光源 (SPring-8, ESRF, APS) が、その後、短周期真空封止アンジュレータを用いた中型の3.5世代放射光光源 (SOLEIL, SLS, DIAMOND) へとシフトしていったように、これを契機に、コンパクトで高性能のX線自由電子レーザーの建設が世界中で検討されていくことでしょう。