計算科学センターはKEKで行われている研究活動のために計算資源と計算機ネットワークを運用しています。近年の国際共同研究では、世界中のコンピュータシステムを利用する必要があります。このようなシステムは、Large Hadron Collider (LHC) 実験で行われたように、グリッドやクラウドの技術によってグローバルなネットワーク環境に構築され、CPUやデータストレージなどの計算資源を利用可能にします。

情報システム

計算科学センターはインターネット接続、機構ネットワーク、国内の大学や研究機関を結ぶ高エネルギー物理のためのHEPnet-Jを運用しています。機構ネットワークには、約6000の機器を持つつくばキャンパスのKEK-LAN、約4000の機器を持つ東海キャンパスのJLANが含まれます。これらのシステムを安全に利用するために、コンピュータ・セキュリティも重要です。

中央計算機システムはKEKの職員と共同研究者に実験解析のための大規模データストレージとCP資源を提供しています。グローバルスケールで共同して解析を進めるためのグリッドシステムも含まれます。中央計算機システムは、Belle II 実験やJ-PARC (Japan Proton Accelerator Research Complex, 大強度陽子加速器施設) 実験による増大する需要に対応するため、2020年9月に新システムに更新されました。

スーパーコンピュータシステムは、KEK素粒子原子核研究所が運営する素粒子原子核宇宙シミュレーションプログラムに利用されています。2019年3月15日から稼働している現行システムは 313.6 TFlops の理論演算性能を持ち、大規模計算に適した高メモリ帯域幅を備えています。

計算科学センターは e-メールやウェブシステムを始めとして、メーリングリスト、ビデオ会議、wiki、ドキュメント管理システム(KDS-Indico)など、研究活動に不可欠なサービスの提供も行っています。

研究開発活動

計算科学センターでは情報システムの運用に加えて、計算科学に関する様々な研究・開発活動を行っています。以下ではいくつかの代表的な例を紹介します。

クラウド・コンピューティングは仮想化技術により、様々な構成の計算資源を動的に利用することを可能にします。Linux クラスタシステムへのクラウド技術導入を通して、柔軟なデータ解析環境を構築するための開発と評価を行っています。

Geant4 は測定器中での粒子と物質の相互作用をシミュレーションするためのソフトウェアです。高エネルギー実験のみならず、医療や宇宙分野での放射線シミュレーションにも幅広く利用されています。計算科学センターでは、学際応用への展開として、放射線治療への応用を放射線医療分野との共同開発研究で行っています。並列プロセッサやGPUを利用した高速化なども手掛けています。

GRACE は素粒子理論の散乱断面積の計算を自動的に行うソフトウェア・システムです。実験解析のための事象生成プログラムによって、高エネルギー物理学実験に応用しています。複数のループを含む積分をGRACEで実行可能にするために、数値積分と数値外挿に基づく直接計算法を開発しています。 

計算科学センターパンフレット

日本語版 / 英語版

計算機システム

その他の研究

活動報告

研究活動については以下をご覧ください。

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