高エネルギー加速器研究機構 共通基盤研究施設

KEK一般公開2018 共通基盤研究施設の紹介

2018年のKEK一般公開は9月2日に開催され、時折小雨も降る天候でしたが、多くの来訪者で賑わいました。共通基盤研究施設の4センターもそれぞれの研究や業務の内容を、実演やパネル展示などを通して紹介しました。また今回は、4センターを紹介するクリアファイルの配布、4センターを回るスタンプラリーなど、共通基盤研究施設としての広報活動も行いました。すべてのセンターを見学して記念品のキーホルダーを獲得した方は 415名でした。それぞれのセンターの展示を紹介します。

放射線科学センター

放射線科学センターでは、研究活動が安全に行われるよう、またKEKの研究活動によって周辺地域に影響を及ぼさないよう、放射線や放射能、有害廃棄物などの監視・管理を行っています。

一般公開では放射線量を調べるための様々な検出器を展示し、KEKがとっている安全対策の説明を行いました。見えない放射線を検出するために、放射線の種類や用途によって、様々な検出器が使われています。放射線を扱う施設では、放射線の漏洩が起きないように、また万が一起きたときに迅速に対策できるように、常時監視することが重要です。放射線集中監視室ではKEK敷地内の放射線検出器を集中管理し、リアルタイムで監視する様子を展示しました。
 微弱な放射線が入ったカプセルを、放射線測定器を使って探す「宝探しゲーム」や、紫外線で色が変わる発色ビーズでストラップを作るコーナーは、子供たちに大人気でした。私たちの周りにも放射線を出すものがあり、宇宙からも宇宙線として降り注いでいるなど、放射線は意外に身近な存在です。放射線の性質を理解して正しく扱うことがますます必要になってきています。

さまざまな放射線検出器が並ぶ(放射線科学センター)

宝探しに挑戦!(放射線科学センター)

計算科学センター

計算科学センターではKEKで行われている幅広い研究に必要な計算機・ネットワーク環境の整備・運用や、ソフトウェアの開発を行っています。
 恒例のコンピュータやネットワークに関するクイズでは正解者に景品を進呈しました。KEKの活動は多くの計算機やそれらを繋ぐネットワークに支えられています。各地の研究所にある計算資源を世界中の研究者が効率よく使うためのグリッドシステムなど、ソフトウェアの開発も欠かせません。コンピュータによるシミュレーションによれば、物質や宇宙の仕組みを調べることや、放射線治療のような先端医療への貢献も可能です。最近話題の機械学習によって人を見分けるプログラムの実演も行いました。
 Belle IIなどKEKで行われている実験のデータを保存し、解析するための大規模計算機システムが、計算科学センターに設置されている中央計算機です。このシステムを見学して貰うマシン室ツアーにも多くの方に参加して頂きました。

左:クイズに挑戦! 右:機械学習で人を認識(計算科学センター)

中央計算機システムの見学ツアー(計算科学センター)

超伝導低温工学センター

超伝導低温工学センターでは、KEKが誇る加速器科学のなかでも、最先端の超伝導・極低温技術の研究開発を日々進めています。
 屋外に置かれたJ-PARC用の超伝導磁石が、見学者をお出迎えします。極低温では電気抵抗がゼロになるという、「超伝導」という現象が起こります。この性質を使うと強い磁場を作ることができるため、高エネルギー加速器や検出器になくてはならない技術です。また物質を極低温まで冷やすために必要な、液体ヘリウムを使う技術も重要です。このような研究開発の最先端を分かりやすく解説しました。
 超伝導状態では不思議なことが起こります。それを利用した超伝導コースターでは、磁石のレールの上を小さなコマが、浮いているのになぜかレールから外れずに滑っていきます。ありえないほどゆっくり揺れるブランコなど、不思議な超伝導・極低温技術の世界を体験して貰いました。

J-PARCニュートリノビームライン用超伝導磁石(超伝導低温工学センター)

超伝導コースター(超伝導低温工学センター)

機械工学センター

最先端の研究を行うための実験装置は自分たちで作るしかありません。機械工学センターはKEKのさまざまな実験装置を作ったり、作るための方法を考えたり、未来の実験装置のための研究を行ったりしています。
 今年の一般公開でのテーマは、実験装置になくてはならない「ねじ」。小さな機械から大きなビルや橋まで、膨大な量のねじによって支えられています。場所や用途に応じて、様々な大きさや形、素材のねじが必要です。ねじをつくる実演では、手元で金属が削られてゆくようすを、拡大したモニターに映し出しました。「ねじ切り体験」のコーナーでは、実際にアクリル板にめねじを加工する体験をしていただきました。
 加速器のためになくてはならないのが、真空をつくる技術です。空気が残っていてはビームを高エネルギーまで加速する前に空気分子と衝突してしまいます。この空気がなくなってしまった世界を垣間見ることができるのが、真空を体験するコーナーです。他にも実際に使われている工作機械など、KEKの研究活動を支える工作技術を知って頂くための展示を行いました。

左:真空を体験するコーナー。右:所狭しと並ぶ工作機械(機械工学センター)

左:ねじ加工の実演。モニターには手元の様子が拡大して映される
右:「ねじ切り体験」企画の様子(機械工学センター)

通基盤研究施設の4センターは、それぞれの得意分野によって、KEKの活動に不可欠な技術を提供しながら、日々研究や開発を進めています。ぜひ来年の一般公開にも足をお運びください。

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