iCASA

応用超伝導加速器イノベーションセンター

Innovation Center for Applied Superconducting Accelerators

KEKのロゴ

応用超伝導加速器イノベーションセンターiCASAは、超伝導加速器の幅広い普及を目指します。

センター長挨拶

応用超伝導加速器イノベーションセンター

センター長/阪井 寛志(Hiroshi SAKAI)

役職 : 加速器研究施設 応用超伝導加速器イノベーションセンター センター長 教授

加速器の産業・医療応用をさらに推進するため、応用超伝導加速器センター(CASA)は応用超伝導加速器イノベーションセンター(iCASA)へ改組いたしました。 超伝導加速器は、電力損失が小さく大強度のビームを発生させることができるため、加速器のコンパクト化が実現でき、産業応用面でも革新的な進歩を付与できることが期待されます。KEKは、1980年代のトリスタン加速器の時代にいち早く超伝導を利用したビーム加速を実現しました。その後、国際リニアコライダー(ILC)の研究開発などで、超伝導加速器開発を進めており、日本国内では唯一の超伝導加速器の研究開発拠点となっています。本センターでは、これまでILCの研究開発などで培ってきた超伝導加速器技術等を活用して、産業等用加速器のための要素技術開発、実証機の研究開発を推進するとともに、加速器の産業利用の実用化をはかり、加速器の社会貢献に寄与します。これらの活動を全国規模で強力に推進するため、本センターが中心となり、大学・国内外研究機関・企業から構成される「応用超伝導加速器イノベーションコンソーシアム」を構築し、このスキームの下、大強度超伝導加速器応用のニーズの調査・分析、研究開発戦略の策定・展開を図り、加速器の産業利用推進に資するとともに、未来を担う若手研究人材の育成に貢献します。本センターにおいては、引き続き先端加速器であるリニアコライダー加速器に関する開発研究も進めます。先端加速器の研究で得られた成果を産学連携による加速器応用に活かしていきたいと考えています。

研究グループ

超伝導空洞グループ

グループリーダー/梅森 健成(Kensei UMEMORI)

役職 : 加速器研究施設 応用超伝導加速器イノベーションセンター 教授

国際リニアコライダー計画(ILC)用試験加速器として建設されたSTF-2クライオモジュールには、ニオブ製1.3GHz、9-cell超伝導空洞が12台内蔵されており、運転温度2Kでパルス高加速電界での電子ビーム加速試験が行われている。 2019年3月にはILCの目標値である平均加速電界32MV/mでのビーム運転が達成され、ビームエネルギーとして280MeVまでのビーム加速に成功した。 内面検査・機械研磨装置、電解研磨や高圧水洗浄などの表面処理装置、組立用クリーンルーム、空洞単体での低温性能評価を行う縦型測定システムなど、 超伝導空洞開発を全工程に渡って一貫して行う設備が整っており、超伝導空洞の高性能化に重点を置いた研究活動を行っている。 特に、清浄環境下で超伝導空洞の窒素雰囲気中での真空熱処理を行うための高温真空熱処理炉が開発され、この真空熱処理炉を用いた窒素熱処理(窒素ドープ、窒素インフージョン)による高Q値・高加速電界の達成を目指した開発研究が重点的に行われている。 横型クライオスタットでは超伝導電子銃空洞の冷却試験が計画され、また、陽子・重イオンを加速するための低ベータ型超伝導空洞開発が共同研究により展開されている。 さらに、ニオブより高い超伝導転移温度を持つNb3SnやMgB2を用いた超伝導薄膜空洞の開発研究にも着手している。

ナノビーム開発グループ

グループリーダー/照沼 信浩(Nobuhiro TERUNUMA)

役職 : 加速器研究施設 応用超伝導加速器イノベーションセンター 教授

国際リニアコライダー(ILC)をはじめとする先端加速器で必要となる高精度高品質電子ビームの技術開発を行っています。 高周波電子銃で生成された電子ビームを電子線型加速器(長さ約70m)で1.3GeVに加速し、周長約140mのダンピングリング(円形加速器)に送ります。 ビームはダンピングリングを周回する間に平行度が約1000倍改善された「超平行高品質ビーム」に変換されます。 このビームをリングから取り出し利用することで、 様々な先端的ビーム測定装置やビーム制御技術の開発が行われています。 さらに、ATF加速器の最終部には最終収束試験ビームライン(ATF2、長さ約50m)があり、 ナノメートル級の極小ビームを実現する技術開発が行われています。 ATFは先端的加速器技術開発を主たるテーマとした世界的にユニークな加速器研究施設です。 世界中から研究者が集まり、精力的に研究開発が進められています。

超伝導加速器利用推進グループ

グループリーダー/山本 将博(Masahiro YAMAMOTO)

役職 : 加速器研究施設 応用超伝導加速器イノベーションセンター 准教授

エネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac: ERL)の小型実証機であるコンパクトERLは、2013年から運転を開始し、現在はERL技術の産業応用を念頭に置いた超伝導加速器利用のための開発を行っております。 コンパクトERLでは、500kVのDC電子銃により生成された高輝度大電流ビームを超伝導空洞により、加速します。 一度加速したビームのエネルギーを超伝導空洞に再度戻し、回収することで、次の新しいビームの加速に「再利用」できるのが本加速器の大きな特徴になります。 特に、ロスのない超伝導空洞を利用することで、2016年3月に1mAもの大電流CWビームの”100%”のエネルギー回収運転を実現し、リング型加速器では実現できない高輝度、大電流、短バンチのビームを生成可能としております。 このようなコンパクトERLによる非常に特徴的な大電流ビームを用いた応用は様々であり、テラヘルツ領域から中赤外の大強度自由電子レーザーによる加工プロセスの産業利用を行うとともにさらにはEUV(極紫外)領域での大強度光の生成に向けた産業利用検討を行っております。 また民間企業と核医学用検査薬の国内での製造やアスファルトの長寿命化の基礎的な研究のための照射実験も行っております。

陽電子・ビームダンプグループ

グループリーダー/榎本 嘉範(Yoshinori ENOMOTO)

役職 : 加速器研究施設 応用超伝導加速器イノベーションセンター 准教授

陽電子ビームダンプグループでは国際リニアコライダー(ILC)で必要となる陽電子源およびビームダンプの開発を行っています。ILCのようなリニアコライダーでは、粒子は1度しか衝突点を通過しないため、周回しながら何度も衝突させることができる、サーキュラーコライダーとくらべて大量の粒子が必要になります。KEKではトリスタン以来長年に渡る陽電子源開発と運用の実績があり、加えて物性利用を主な目的とした低速陽電子施設の運用も行っています。これらの経験を活かしつつ世界最高強度の陽電子源の開発を進めています。また衝突後の粒子を安全に回収するためのビームダンプは粒子源(電子銃、陽電子源)と同様に重要で、粒子源の性能に見合ったものを合わせて開発していく必要があります。

超伝導空洞製造グループ

グループリーダー/佐伯 学行(Takayuki SAEKI)

役職 : 加速器研究施設 応用超伝導加速器イノベーションセンター 准教授

超伝導空洞製造グループ(iCASAと機械工学センターが運営)では、KEK開発共用棟内に設置された空洞製造技術開発施設(CFF)を活用し、 超伝導加速空洞の製造技術開発に取り組んでいます。 CFFには、大型電子ビーム溶接機、プレス機、縦型旋盤、化学研磨設備などがクリーン環境の下に整備されており、KEK共通基盤研究施設機械工学センターと連携して機構内ですべての空洞製造工程を行うことができるユニークな施設です。 本グループでは、国際リニアコライダーを はじめとする先端加速器で必要とされるニオブ製の超伝導加速空洞について、空洞性能の向上とコストダウンの両立を目指して研究を行っています。 実際の加速器に組み込まれる9セルタイプの空洞の製造技術の開発だけでなく、空洞材料の選定に関わる材料試験や空洞の加速性能評価試験用の1セル空洞や3セル空洞の試作も行っています。 また、新しい空洞製造方法として液圧成形によるシームレス空洞の開発にも力を注いでいます。

研究施設

STF

Superconducting RF Test Facility

超伝導リニアック試験施設

超伝導リニアック試験施設(STF)では、国際リニアコライダー(ILC)計画において最も重要な超伝導空洞およびクライオモジュールの技術開発を行なっています。 超伝導空洞の性能を引き上げるために必要な電解研磨設備、空洞内部を汚さないようにするためのクリーンルーム、空洞単体の性能試験を行う縦型クライオスタット、 空洞を冷却するための冷凍機設備、空洞運転に必要な大電力高周波源などが備わっており、多くの研究所および民間会社と研究を進めています。

ATF

Accelerator Test Facility

先端加速器試験施設

先端加速器試験施設(ATF)では、国際リニアコライダー(ILC)で必須となる極小電子ビーム(ナノビーム)の技術開発を行う先端加速器施設です。 ダンピングリングで生成される世界最高レベルの高品質電子ビームを利用して、電子ビーム最終収束試験ビームライン(ATF2)により、ナノビームの生成・制御技術開発を行っています。 この最先端施設での研究開発には世界中の大学・研究機関から多くの方々が参加しています。

cERL

Compact Energy Recovery Linac

エネルギー回収型線形加速器

エネルギー回収型線形加速器(Energy Recovery Linac: ERL)の小型実証機であるコンパクトERL(cERL)では、2013年から運転を開始し、現在はERL技術の産業応用を念頭に置いた超伝導加速器利用のための開発を行っております。高輝度大電流ビームを生成する500kVのDC電子銃を有し、さらに本施設に特化した超伝導加速空洞を用い大電流ビームを加速、その後、一度加速したビームのエネルギーを回収するというアイデアにより、世界で類のない高輝度大電流ビーム運転を可能としております。このようなアイデアによる超伝導加速空洞による大電流ビームの応用は多岐に渡り、具体的にはテラヘルツ領域から中赤外、極紫外の大強度レーザー生成による基礎研究および産業利用、さらに核医学用検査薬の国内での製造やアスファルトの長寿命化のための照射実験など、多くの民間企業や国内外の研究機関と連携して研究開発を進めております。

CFF

Cavity Fabrication Facility

空洞製造技術開発施設

空洞製造技術開発施設(CFF)では、超伝導加速空洞の品質向上や量産化に向けた研究開発を推進するための研究開発施設です。CFFには大型電子ビーム溶接機、プレス機、縦型旋盤、化学研磨設備などがクリーン環境下に整備されており、KEK共通基盤研究施設の機械工学センターと連携してすべての空洞製造工程を行うことができます。

応用超伝導加速器コンソーシアム

iCASAは「産学連携イノベーションコンソーシアム(共同事業)」応用超伝導加速器コンソーシアムを設立いたしました。

応用超伝導加速器コンソーシアム

トピックス

2023-3-7

第四回応用超伝導加速器コンソーシアムセミナー

第四回応用超伝導加速器コンソーシアムセミナーがハイブリッドで開催されました。


2023-01-30

7th EUV-FEL Workshop

1月30日(月)、ハイブリットで7th EUV-FEL Workshopが開催されました。

 


2022-05-25

第三回応用超伝導加速器コンソーシアムセミナー

新型コロナウイルス感染拡大を懸念して、オンラインでの開催となりました。


         

2022-01-18

6th EUV-FEL Workshop

1月18日(火)、オンラインで6th EUV-FEL Workshopが開催されました。

 


          

2021-01-22

5th EUV-FEL Workshop

1月22日(木)、オンラインで5th EUV-FEL Workshopが開催されました。

今回はリモートで行ったことにより、米国(Lyncean Technologies, Inc)、ベルギー(IMEC)、オランダ(ASML)からのご講演もいただくことができ、また、130名を超える方々にご参加いただき、まさに国際ワークショップの段階に到達することができました。


2020-09-10

第二回応用超伝導加速器コンソーシアムセミナー

新型コロナウイルス感染拡大を懸念して、オンラインでの開催となりました。


2019-12-10

第4回EUV-FELワークショップ

12月10日(火)、秋葉原UDXにて第4回EUV-FELワークショップが開催されました。


2019-12-05

第一回応用超伝導加速器コンソーシアムセミナー

第一回応用超伝導加速器コンソーシアムセミナー(コンソーシアム会員限定)が開催されました。


2019-09-02

応用超伝導加速器コンソーシアム設立記念シンポジウム

コンソーシアム設立を記念して、9月2日(月)日本大学にて応用超伝導加速器コンソーシアム設立記念シンポジウムが開催されました。