平成12年度技術交流会開催案内
技術部技術交流会担当係
久松(加速器 KEKB)
柿原(電子陽電子入射器)
久保(加速器 PS)
記
日 時 : 2001年 2月9日(金)10:00〜16:45
場 所 : 4号館1階セミナーホール
プログラム(各、発表20分、質疑応答10分、計30分)
− 開会 − 10:00
− 技術部長挨拶 −
技術発表(午前の部) 10:10〜11:40
座長:白壁義久(大強度陽子加速器)
1)JHFリニアックの真空排気系について
久保田親(加速器ハドロン、PS) 10:10〜10:40
2)炭素ストリッパー膜上へのbuild-up制御法
武田泰弘(加速器ハドロン) 10:40〜11:10
3)短寿命核ビームためのECRイオン源
小柳津允広(素核研ハドロン) 11:10〜11:40
技術発表(午後の部−1) 13:00〜15:00
座長:柿原和久(電子陽電子入射器)
4)カプトンのガス放出特性について
佐藤政行(加速器KEKB) 13:00〜13:30
5)KEKB真空作業のための真空立ち上げ手順について
嶋本真幸(加速器KEKB) 13:30〜14:00
座長:有永三洋(加速器KEKB)
6)KEKBのビームによるガス放出特性の残留ガス分析計による測定
久松広美(加速器KEKB) 14:00〜14:30
7)放射光の真空システム
内山隆司(物構研放射光光源) 14:30〜15:00
− 休憩 − 15:00〜15:15
技術発表(午後の部−2) 15:15〜16:45
座長:染谷宏彦(陽子加速器)
8)低速ミュオンビームラインにおける超高真空
牧村俊助(物構研中間子科学) 15:15〜15:45
9)被覆電線およびエラストマー・プラストマー材料等のガス放出速度測定
久保富夫(加速器PS) 15:45〜16:15
10)積層構造の真空特性
佐藤吉博(加速器PS) 16:15〜16:45
− 閉会 −
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【技術交流会’00発表予定内容一覧】
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1)題 名:JHFリニアックの真空排気系について
発表者:久保田 親
所 属:加速器ハドロン、PS
論文概要:
大強度陽子加速器計画の一部としてイオン源から60MeVリニアックまでの建設が進ん
でいる。イオン源、RFQ、リニアックの真空排気装置について述べる。イオン源、RFQ
加速装置は水素のロードがあるため大排気量の真空装置が必要である。リニアックは
大容量の真空容器を小型の排気装置で排気する。
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2)題 名:炭素ストリッパー膜上へのbuild-up制御法
発表者:武田泰弘
所 属:加速器ハドロン
論文概要:
加速器の加速効率を高めるため、荷電変換部に炭素ストリッパ−膜が用いられている。
我々は、より長寿命化を目指して、極端に薄い〜1mg/cm2(50Å)から極端に厚い
〜500mg/cm2(5000Å)の炭素ストリッパ−膜の開発とビ−ム照射による膜厚特性
を系統的に調べている。非常に薄い炭素ストリッパ−膜にビームを照射した場合、炭素
膜上に真空中の残留ガスからの解離された炭素が附着、堆積(build-up)し、寿命を著
しく低下させる。このbuild-upを制御する方法を開発したので報告します。
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3)題 名:短寿命核ビームためのECRイオン源(Electron Cyclotron Resonance Ion Source)
発表者:小柳津允広
所 属:素核研ハドロン
論文概要:
我々のグループでは10年ほど前に、SFサイクロトロン用の"大強度、多荷チャージ
イオン"の生成を目標とした"ECRイオン源"の開発を始めた。その後"短寿命核イオン
ビーム"の生成を目的とするISOL(Isotope Separator On Line)用など、さまざま
な用途の"ECRイオン源"を作り続けてきた。現在、それらのイオン源の経験をもとに、
1価の短寿命核イオンを線形加速器の入射に適した多荷イオンに変換する"チャージ
ブリーダーECRイオン源"のベンチテストが進められている。ここでは多荷イオンを生
成するには高真空が必須である。そのテストベンチの現状と昨年製作した14GHz の
"永久磁石型ECRイオン源"の経験を踏まえて、現在構想中の新ECRイオン源について述
べる。
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4)題 名:カプトンのガス放出特性について
発表者:佐藤政行
所 属:加速器KEKB
論文概要:
カプトンは非常にすぐれた絶縁材としてKEKB加速器のセプタム電磁石に使用され
ている。このセプタム電磁石は真空チェンバ内に設置されている。このチェンバ内圧
力はセプタム電磁石がOFF時、約50μPa である。カプトンがこの到達圧力にど
の程度影響を与えるかを測定した結果を報告する。
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5)題 名:KEKB真空作業のための真空立ち上げ手順について
発表者:嶋本真幸
所 属:加速器KEKB
論文概要:
真空作業のためにチェンバー内を大気圧に戻したり、再び真空排気を始める場合に、
KEKBではトリスタンの場合と比べて、「液体窒素を蒸発させてパージする」、
「イオンポンプをベーキングする」というルールが追加されている。この効果を実験
で確かめる。
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6)題 名:KEKBのビームによるガス放出特性の残留ガス分析計による測定
発表者:久松広美
所 属:加速器KEKB
論文概要:
現在KEKBは電子、陽電子衝突実験を行っている。この電子、陽電子リングには1
0台の残留ガス分析計(RGA)が設置されている。このRGAの制御はEPICS
でおこなわれている。このEPICS制御の概要と、各リングのアーク部、入射部、
ウイグラー部の各ビーム運転時の分析結果と、分圧測定結果からの正確なチェンバ内
圧力の計算結果を報告する。
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7)題 名:放射光の真空システム
発表者:内山隆司
所 属:物構研放射光光源
論文概要:
放射光におけるメンテナンス方法及び真空計の校正などを報告する。
・ 真空の立ち上げ方法
・ インターロック関係
・ 真空計の校正(BAG、CCG)
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8)題 名:低速ミュオンビームラインにおける超高真空
発表者:牧村俊介
所 属:物構研中間子科学
論文概要:
中間子科学研究施設ではレーザー共鳴による超低速ミュオンの発生実験を行っている。
その実験中、レーザー共鳴の為に真空紫外光を用い、効果的なミュオニウム原子発生
のために清浄なタングステン表面が必要とされる。その際我々は1.0E(-10)mbarの真
空チェンバーを用いている。超高真空の実現のために留意すべき点及び超高真空内で
使用する機器について述べる。
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9)題 名:被覆電線およびエラストマー・プラストマー材料等のガス放出速度測定
発表者:久保富夫
共同発表者:佐藤吉博(加速器PS)、斉藤芳男(加速器PS 教官)
所 属:加速器PS
論文概要:
何種類かの電線やエラストマー・プラストマー材料が、ガス放出率が高いにもかかわ
らず、真空装置に使われることがある。それらの材料を内装した装置の圧力を予測す
るために、それらの材料のガス放出速度を、排気時間の関数としてスループット法に
より測定した。電線とガラススリーブのガス放出速度は、絶縁材や表面塗布処理に依
存して、100 時間時点で E-9〜E-5 Pa・m3・s-1・m-1 の範囲にわたっていた。
エラストマー・プラストマー材料のガス放出速度は、100 時間時点で E-5〜E-3 Pa
・m3・s-1・m-2 と、高いことが確かめられた。
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10)題 名:積層構造の真空特性
発表者:佐藤吉博
共同発表者:久保富夫(加速器PS)、斉藤芳男(加速器PS 教官)
所 属:加速器PS
論文概要:
加速器では,電磁石を真空槽内に設置することがある.積層構造をもつ電磁石鉄心を
設置した真空槽では,放出ガスが多いため,規定の圧力に達するまでに多大な排気時
間を要している.また,電磁石への通電やビームの影響等による発熱もあり,放出ガ
スを更に多くしている.長時間,圧力の高い状態が続くと,ポンプや真空計などの真
空部品の寿命に影響を与え,放射線被曝を伴う保守作業等の頻度の増加につながる.
圧力を高くしている要因の一つである積層構造の電磁石の真空特性を調べるため,薄
板(厚さ0.1 mm )で積層構造のサンプルを作りガス放出速度特性を測定した.
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