第1回技術賞選考委員会議事メモ
 

 日 時:平成12年11月13日(月)10時30分〜12時30分
 場 所:管理棟特別会議室
 出席者:木原(委員長)、阿部、岡田、高崎(稔)、野村、人見、松下、三国、山崎 、
            山根の各委員
   (機構)   木村物構研所長
   (庶務課)  小野課長補佐、志村人事第三係長
 欠席者:近藤(敬)、山本の各委員
 
 配布資料:
 1.第1回KEK技術賞公募要領(案)
 2.KEK技術賞表彰要領
 3.KEK技術賞選考委員会実施要領
 4.KEK技術賞選考委員会委員名簿 
 
 

 1.はじめに、木村物構研所長から、配付資料に基づき、技術賞を設けるに至った経
   緯、目的、委員会の構成、期待される選考スケジュールなどの説明があった。
 2.規則により、委員長を互選した結果、木原委員が選出された。
 3.あらかじめ技術部等によって検討された第1回技術賞公募要項(案)について説
   明があり、これをもとに審議を行った。
 
  以下は各委員の発言をメモとしてまとめたものであるが、技術賞の性格に関する重要
 な議論がなされたので、ここに掲載することによって、広く職員にお知らせするもの
 である。
 
 
 (1)趣旨について
 
  はじめに、委員長から、第1回技術賞公募要項(案)の説明を補足する目的で、技術
 賞を選考するに当たり考慮すべき事項として、以下の4点について発言があった。
 
 (1) 機構の研究活動に必要な実験装置等に関する技術開発と性能向上に対する顕著な
  貢献をなした業績
 (2) プロジェクトの遂行、実験装置等の運転・維持においてなされた、高い技術的専
   門性、技術力の蓄積が高く評価できる業績
 (3) その他の優れた技術の開発(発明、改良)
  が技術賞の対象としてふさわしいこと、また、
 (4) 選考に当たっては、成果の公表(書くということ、まとめるということ)の重要
   性を考慮すること、とくに、ドキュメントとしての価値の高い技術報告の評価が必要
  であること。
 
 これに対して、各委員から以下のような発言があった。
 
 *特に独創性が高くなくても、特殊な技術を長期にわたって地道に提供することが研
  究活動を高度に維持し、大きな成果を生む基盤となることがある。そのような、目立
  たないが重要性の高い技術的業績も表彰の対象とすべきである。
 
 *メインの、あるいは目立つプロジェクトを担当する人ばかりでなく、地味な課題担
  当者も評価したい。努力の程も評価できないか。創意工夫、新規以外でも地道な積み
  上げで業務成果に寄与したことは評価したい。
 
 *要項案のうち「機構の研究活動に必要な実験装置等(研究活動を支えるすべての基
  盤的設備に関連するものを含みます)」には、施設(建物及び建物設備)、基幹設備
  が含まれる。
 
 *新技術、斬新なアイデアの導入により、省エネルギー、エコ対策、安全、コスト縮
  減などに貢献した技術者も「技術開発、性能向上等の優れた業績」の対象とする。
 
 *運転技術、技術導入の成果も対象になるのではないか。
 
 *そこに個人のアイディアによる際立つ技術があり、機構に貢献したかどうかである 。
 技術賞では、幅広い意味での功労賞とは別に、際立った技術で機構に貢献したもの
  を表彰すべきである。
 
 *功労賞的ニュアンスのものがあると、選考が難しくなる。
 
 *新しい技術の開発といっても、共同利用研としての機構の活動の目的に沿ってなさ
  れ、実際に効果の上がっているものを評価すべきである。
 
 *選考の対象となる「実験装置等に関する技術開発、性能向上」は、機構の研究活動
  に対して役に立ったという観点を忘れないようにすべきである。オリジナルな技術開
  発というものも大切であり、それを評価することは必要なことであるが、余りその点
  のみが強調され過ぎることは避けた方がよい。どの程度役にたったか、あるいはこれ
  から役にたつ可能性がどの程度あるかという視点も持つべきである。そのような観点
  から、他分野で開発された技術を機構でカバーする研究分野に導入し、研究の進展に
  大いに貢献したというような例でも、その過程と結果において技術的に高いレベルの
  貢献がなされていれば、評価できるような基準が望ましい。ただし、そこそこのレベ
  ルの技術的貢献を長期にわたって行ったというようなものに対する努力賞あるいは功
  労賞的な性格ではないとの認識も持つべきだと思う。
 
 
 (2)応募資格について
 
 (1) 表彰の対象となるのは、本機構に勤務する技術者で、単数であれ、複数であれ、
  個人を対象とするものである。グループを対象とするものではない。いうまでもなく
  、本機構での仕事のほとんはグループによって行われているが、そのなかにあって、
  とくに高い技術的専門性をもち、それを優れた成果に結びつけた個人を対象とすると
  いうことである。
 
 これに関連した発言には以下のようなものがあった。
 
 *プロジェクト・グループを対象にすると、教官が入ってくる。かといって教官を抜
  いたグループもおかしい。
 
 *KEK技術賞表彰要項にある「グループ」は「連名」と読み替えるべきものであり、
  そこに連ねるA氏もB氏もC氏も(本来個人で申請しても)趣旨に合致する個人の集
  まりであるような「グループ」であるべきではないか。「グループ」に属していると
  いうことでC氏も加えた、というのはおかしい。
 
 *プロジェクト全体の表彰は趣旨に合わない。プロジェクトの中で技官個人がいかに
  成果に対して寄与したかを評価すべきである。したがって、個人または有効打を打っ
  た若干名の人物に限るべきである。
 
 (2) 「本機構に勤務する技術者」とは、現状では技術部および施設部に属する技官を
  指す。なお、この部分は「本機構に所属する技術職員」と直すことにした。
 
 (3) 自薦、他薦を問わない。
 
 (4) ) 不採択となった課題の再応募の可能については、これを制限しない。
 
 
 (3)選考対象となる期間について
 
   今回は第1回であることを考慮して期間は設けない。ただし、将来の可能性とし
 ては、過去5年間の業績ということもあるりうるかと思われる。次回以降の検討課題
 とする。
 
 
 (4)提出書類および提出先
 
 (1) 推薦書の様式については、技術部と総務部において案を作る。
 
 (2) 推薦の理由については、A4版1枚程度で、業績の説明をしてもらう。
 
 (3) これまでの仕事の概要については、当該推薦課題を含んだこれまでの活動歴を本
 人に書いてもらう(A4版2枚程度)。
 
 (4) 提出書類に関連してもっとも議論が集中したのは、
  「関連する論文、技術報告などのリスト(代表的なものについて別刷各1部を添付し
  て下さい。)(注)教官との共著論文などで、当該推薦課題の評価の参考とならない
  ものは避けて下さい。」
  の部分であった。技術賞選考において論文などのリストにどれだけの重みを持たせる
  のか、という問題提起があり、これについて審議を行った。
 
 以下は、関連の発言の要旨である。
 
 *技官、教官を問わず、成果の発表にもっと注意を払うべきである。KEKのように技
  術的分野が主要な部分を占める研究所においては、技術の継承という観点から、また
  、個々人のレベルの向上の観点においても、優れた技術報告の重要性は極めて高い。
  一つの論文の背後には多数の技術報告があるべきだ。いわゆる3ページの研究会、学
  会論文で終わりにしてはいけない。過去にも、日本語で書かれた技術報告で優れたも
  のがあった。このようなものをもっと一般化したい。
 
 *ある装置に関して、あるいはある技術に関して、余人をもって代え難いという議論
  があるが、個人によって蓄積された成果をどのように公表し、ドキュメントとして残
  すかということは、これからますます重要となる。
 
 *このような認識に立って、評価に当たっては、しっかりした技術報告の重要性を明
  確に打ち出したい。
 
 *技術のみではなく、研究会、報告書、ドキュメント、マニュアル等、技術を見える
  ように、継承できるようにする所までを含めて評価対象にして欲しい。
 
 *今回は技術報告などの「など」をいくぶん拡大解釈した方がよい。今の段階では、
  会議に提出した資料、トラペなども一応内容があれば評価の対象にしないと厳しいケ
  ースもある。ただし、ドキュメントの重要性はこの際、明確に打ち出してよい。
 
 *(関連して、委員から以下のコメントがあったので、参考までに付記する)
  教官も含めてやった業務では、多数の名前が論文に載せられる。論文に名前が載って
  も自分のやった「こまかい」(重要度が低いではない)成果が記載されていないこと
  に慣れすぎているので、一つのの論文の裏に100の技術報告の精神が不足。技術報
 告を書く、つまり「自分の」成果を記録する意識がじつに弱い。成果報告から教官の
  名前を取り去ったときに、何が技官の名前で報告が書けるかという意識で仕事を見る
  ことが大切。
 
 
 (5)公募要項の趣旨などについてのまとめ
 
   今回の選考に当たっては、先の委員長見解(1)~(4)を基本とし、各委員の発言の
  精神をも加味しつつ選考を行うことで委員のコンセンサスを得た。
 
 
 (6)その他
 
 (1) 公募締め切りから選考までの間、委員において、技術報告書等の閲読を十分時間
  をかけて行うこと。
 
 (2) 分野が広いので、選考にあたっては、現場を見に行く、または担当者等から説明
  を受けるなど、選考委員会側の努力が必要ではないか。
 
 (3) 副賞については、種々意見交換した後、人見委員に検討を依頼した。
 
 (4) 技術賞授賞式当日、受賞者による記念講演会を行う。
 
 (5) 今後の予定
 
    公募要項のとりまとめ(11/17)
    公募要項の公表(11/27)
    公募締め切り(12/22)
    選考委員への資料送付(年内)
    選考終了(2月末)
    授賞式(3月中旬)